円は2カ月ぶり159円台に下落、過度な変動には対応すると神田財務官
(ブルームバーグ): 21日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=159円台に下落し、約2カ月ぶり安値を付けた。スイスの利下げをきっかけにドル高が進む中、低金利の円を売って高金利のドルを買うキャリー取引が円を押し下げている。
神田真人財務官が為替に過度な変動あれば適切に対応すると発言し、介入警戒感から円がやや買われる場面が見られた。その後、5月の全国消費者物価指数(CPI)で生鮮食品を除くコアが前年同月比2.5%上昇と市場予想(同2.6%上昇)を下回り、円は売り戻されている。
神田財務官:為替に過度な変動あれば適切な対応取ることに変わらない
5月の消費者物価2.5%上昇、3カ月ぶり伸び拡大-市場予想下回る
円は午前10時23分現在、対ドルで前日比0.1%安の159円02銭一時159円13銭と、34年ぶりに160円台を付けた4月29日以来の安値 |
ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリストは、全体的にドルが強くクロス円など円が弱いとし、「円キャリー取引の根強い需要に加えて、14日の安値を更新してテクニカルに円安が加速している感じだ」と述べた。
ドル・円の推移
ボラティリティーの低下を背景に円キャリー取引の需要が高まり、円は約34年ぶり安値水準の160円台が再び視野に入った。介入への警戒感が強まる半面、米財務省が為替慣行に関する「監視リスト」に日本を追加し、通貨当局は介入に動きづらくなったとの見方が円売りを促している面もある。
米財務省、日本を為替「監視リスト」に追加-操作国認定は皆無
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は「イエレン米財務長官の発言はやはり日本を指していたということで今は介入に動けず、口先介入にも相場の反応は鈍いだろう」との見方を示す。
20日の海外市場では、スイスの予想外の利下げをきっかけにドルが主要通貨に対して上昇。英国が政策金利を据え置く中、米国の長期金利上昇もドル買いを促した。SBILMの上田氏は「欧州の政治的な混乱も続いており、他の通貨が買いづらいのでドルが買われている面もある」と指摘した。
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