ウィシュマさんへの医療対応めぐる国側主張 食い違いを遺族側指摘
ウィシュマさんの遺影を掲げ名古屋地裁に向かう遺族ら=2024年5月22日午後2時5分、名古屋市中区、川西めいこ撮影
名古屋出入国在留管理局で2021年3月に亡くなったスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)を巡る国賠訴訟の弁論が22日、名古屋地裁であった。遺族側は、今回国側が提出した入管の医療対応が適切だったとする書面について、昨年の説明と一部食い違うと指摘した。
国側は今月、「飢餓状態」を示唆していた死亡19日前のウィシュマさんの尿検査結果について、入管側の医師が「総合的に考慮」した上で、治療方針などを判断していたなどと主張する書面を提出。入管は可能な限り、適切な医療対応をしていたと改めて主張した。
これに対し遺族側は、国側が昨年11月に提出した書面では、尿検査結果の把握の有無について「医師は記憶は定かではない旨述べている」としていた点を問題視。医師が検査結果を考慮したとの新たな主張と食い違うとして国側に釈明を求めた。国側の代理人は後日回答するとした。
訴訟の弁論は今年度に入ってから初めてで、裁判官が3人全員交代した。妹のワヨミさん(31)は「死の責任が入管にあることを示してほしい。前の裁判官よりもさらに熱心に裁判に向かい合ってくれることを強く信じる」などと訴えた。(高橋俊成)