子どもの不登校を”短期間で解決”させた親に共通する「4つの特徴」【不登校の9割は親が解決できる】
子どもの不登校を”短期間で解決”させた親に共通する「4つの特徴」【不登校の9割は親が解決できる】
不登校を短期間で解決した親には、4つの共通の特徴があった!
近年、急増し社会問題になっている「不登校」。そして現代の不登校は本人にも「学校に行きたくない」原因がわからない事が多いのだそう。そんな子どもの様子に「親は見守るだけで良いのか?」「何と言って声をかければいいのか?」と悩む親や保護者も少なくないかと思います。 そこで今回は、 「学校に行けなくて悩んでいる人を1人でも多く救いたい」という思いから発足された不登校の解決支援サービス「株式会社スダチ」。そのスダチが誇る「平均18日間で再登校率90%を実現する、いま大注目のメソッド」を公開した書籍『不登校の9割は親が解決できる』をご紹介します。 今回は『最短で不登校を乗り越えられるマインド』という章の中から、不登校を短期間で解決できる親の共通した特徴というトピックを掲載します。 様々な相談者を見てきた中で見えてきた「不登校を短期間で解決できる親の共通した特徴」とは?
長期的視野に立って行動しよう
ご相談者の方々を見ていると、不登校を短期間で解決できる親御さんには共通した特徴があるように感じます。 特徴の一つ目は、「長期的視野で考えられる」こと。 子どもの「いまの状態」だけではなく、将来のことを見据えて、いまどうすべきかを考えることができているのです。 長期的に考えて判断し、行動を起こすのは、なかなか大変なことです。「いまの不登校の状態」でも、とりあえず生活できているし、子どもが家の中にいれば安心です。もちろん、親子ともに、不登校の状態は辛(つら)いと思います。「こんなに辛いことがあるなんて」と涙を流した親御さんが大勢いることを知っています。それでも、実際に行動を起こすのは大変なのです。周囲からは「見守りましょう」と言われがちですから、なおさらです。 第3章でお話しした、デジタル禁止を含めたルール作り、発表と実行は短期的に見ればとても大変だと思います。親御さん自身もデジタル機器から離れることになりますし、子どもに向き合うことになります。子どもをたくさん褒(ほ)めて、いい声かけをしようと思っても、子どもから傷つく言葉を言われたりすることだってあるかもしれません。 それを乗り越えて頑張っていこうと思うのは、やはり長期的視野に立って子どもの将来を考えているからでしょう。 1か月間学校に行けていなかった小学5年生の男の子を、支援開始から11日という短期間で再登校に導いた田中さん(仮名)は、こうおっしゃっていました。 「三人兄弟の次男で、なかなかかまってあげられず愛情が届いていなかったのだと思います。中学受験に向けて頑張っていたある日、朝起きられなくなって、学校に行けなくなりました。あちこち相談には行ったものの、『見守る』以外の解決策はわかりませんでした。それで、私は次男と過ごす時間を増やし、一緒にゲームをするなどして甘やかしたんです。そのときは、次男がかわいいし、一緒にいて楽しいな、これはこれで悪くないなという気持ちもありました。でも、これに安住してしまっては未来がないと思って、現状を変える勇気を持ちました。正直、怖かったです」 田中さんは、私たちの支援を受け、怖い気持ちを乗り越えて行動しました。お子さんに愛情を注(そそ)ぎながらも、ルールを作って実行し、お子さんの反発にも毅然(きぜん)とした態度で対応したのです。その結果、お子さんは生活習慣が改善して元気になり、学校に行けるようになりました。
動揺している姿を見せない
短期間で不登校問題を解決できる親御さんの特徴の二つ目は、「動揺している姿を子どもに見せない」ということです。家庭のルールに対する反発に対して、動じることなく受け止めます。親が子どもに真剣に向き合うほど、子どもは親が傷つくことを言ってきたり、乱暴な態度を取ったりするかもしれません。でも、そんなときこそ取り乱さずに、毅然とした態度を取るのです。 心の中では不安も焦(あせ)りもあるでしょう。動揺するなと言われても、無理だと思います。動揺していいのです。ただ、子どもにはその姿を見せません。弱音は子どものいないところで吐(は)くようにします。たとえばスダチのサポーターは、そんなときの相手になります。外部の人にはいくら弱音を吐いても大丈夫です。 子どもは親の様子をよく見ています。親が不安になっていると、子どもはそれ以上に不安になるものなのです。不登校の子にとって、支えになるのは親だけです。その親が頼りなければ、もっともっと不安になってしまうでしょう。 「何があっても大丈夫」というように、どーんと構えていてください。 勉強の遅れをきっかけに2か月間不登校だった中学1年生の息子さんを、支援開始後たった6日間で再登校に導いた上野さん(仮名)は、息子さんの反発を動じることなく受け止めました。6日間で再登校という早さなので、状態が悪くなかったのではないかと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。息子さんはオンラインゲームを1日12時間やるほどゲーム依存に陥(おちい)っており、昼夜逆転の生活をしていました。 上野さんは覚悟を持って行動を起こしました。デジタル禁止を含めたルールを伝え、実行したのです。当初息子さんは、お母さんの胸ぐらをつかみ、暴言を吐いたそうです。でも上野さんは動じませんでした。全力で、愛を持って受け止めました。その様子を見た息子さんは、静かに自分の部屋へ戻ったそうです。その翌日、驚いたことに息子さんは勉強を始めました。きっと思うところがあったのでしょう。昼夜逆転の生活も数日で元に戻すことができ、6日目に学校に行ったのです。 私はこの話を担当者から聞いて驚きました。「本当に6日で?」と何度も確認してしまったくらいです。上野さんは物腰が柔らかく、普段の印象では決して強くない方です。でも、お子さんのために強くなったのです。私たちは感動してしまいました。
失敗も前向きにとらえる
不登校を短期間で乗り越えられた親御さんの特徴の三つ目は、「失敗を前向きにとらえられる」ということです。 子どもと真剣に向き合う中では、トラブルもあります。本書でお伝えしている内容を実践していても、うまくいくことばかりではありません。 たとえば、デジタル禁止や生活習慣を戻すルールを実践し、たくさん褒めて親子関係が良くなってきた矢先に、親御さんの仕事が忙しくなり、家でパソコンを開かなくてはいけなくなってしまった。不登校期間中は家族も家でデジタル機器を使わない約束だったが、やむをえず、こっそりやろうとしたところを見つかり「協力するなんて言って、ウソだったんだね。学校に行かせたいのもお母さんの都合でしょ」と言う子ども。忙しいのもあってつい感情的になってしまい、「あなたはそうやってお母さんを困らせなきゃ気が済まないの!? お母さんの気も知らないで……!」と怒鳴ってしまった……。 そういう小さなトラブルで親子関係が悪化してしまうこともよくあります。そんなとき、落ち込みますよね。「私はダメな親だ」と考えてしまうかもしれません。もしかしたら、「夫が非協力的だからこういうことになるんだ」「仕事が遅い後輩のせいで私はイライラするんだ」と他人を責めたくなることもあると思います。 でも、自分を責めても、他人のせいにしても、状況は良くなりません。 失敗したと思うなら、次に同じ失敗をしないようにすればいいだけです。「近所のカフェに行ってやればよかったのに、それを面倒くさがったのが良くなかった」「どうしても家でやらなくてはならない場合は、隠れてやるより、子どもに理由を説明してわかってもらえばよかった」、そんな反省が出てくるかもしれませんね。感情的になって怒鳴ってしまったことは、子どもに謝る必要もあるでしょう。 一度反省したならば、もうクヨクヨと悩む必要はありません。「ダメな親」だなんていうことは絶対にありません。子どものために行動し、真剣に向き合っているからこそ出てきたトラブルなのですから。むしろ「いまこの失敗をしておいて良かった」と前向きにとらえましょう。「自分がどういうときに感情的になるかがわかったから、次は気を付けられる」「子どもにちゃんと謝ることができて良かった。子どもも、言い過ぎたときに相手に謝ることを学んでくれた」と思えたら素晴らしいですね。 成功以上に、失敗から学べることは多いものです。
これは子どもが失敗したときも同じです。 親は、子どもの失敗を責めてはいけません。失敗を責められると、子どもは「失敗をしてはいけない」と思うようになります。そして、一つの失敗から立ち直れなくなってしまったり、失敗を恐れて挑戦を避けるようになったりします。 学校に行くことができないのも、失敗が怖いのかもしれません。 失敗は、挑戦の証(あかし)でもあります。挑戦しなければ成功も失敗もないのです。ですから、子どもの失敗に目を向けるのではなく、挑戦したことを褒めてあげてください。 部活でのトラブルをきっかけに8か月間不登校だった中学2年生の息子さんを、支援開始後8日で再登校に導かれた藤井さん(仮名)は、失敗も前向きにとらえる言葉かけをしていました。 たとえば、通知表を見せるときのことです。テストを一切受けることができていないので、成績はオール1。お母さんが学校に行って受け取ってきたのですが、息子さんに見せるかどうか一瞬迷ったそうです。悪い結果の通知表を親から見せられたら、普通は落ち込んでしまいそうですよね。でも、藤井さんは「伸びしろしかないじゃん」と言って通知表を見せました。すると、息子さんは笑って「うわ、1って本当にあるんだ! そうだよね、これより下はないわけだもんね」と言いました。 その後もポジティブな声かけをし、息子さんは学校に行くようになりました。勉強の遅れを取り戻すべく一生懸命頑張ったそうです。そして、高校受験。第一希望の高校に入ることはできませんでした。希望していたのは大学の附属校だったのですが、やはり不登校期間のことなどもあってご縁はいただけなかったのです。でも、息子さん本人が「大学受験することになって大変だけど、落ちたところよりもっといい大学に入ってやるから」と言ったのだそうです。藤井さんは驚き、そして嬉うれしく思ったと話してくださいました。 本当に頼もしく成長していますよね。この息子さんなら、これからもきっと大丈夫だと私たちも確信しました。
自分が変われば状況は変えられる
不登校を短期間で乗り越えられる親御さんの特徴の四つ目は、「自責で考えられる」ことです。何か問題があったときに、他人や社会のせいにするのではなく、自分ごととしてとらえることができるのです。 繰り返しお伝えしているように、不登校は親のせいというわけではありません。友だちとのトラブル、先生との相性、学習のつまずきなど、きっかけはさまざまです。私が根本的な原因として考えている「親の愛情がうまく伝わっていないことによる自己肯定感の低下」にしても、親御さんは愛情を持っているのにもかかわらず、伝わりにくくなっている現代社会の構造が背景にあります。 ですから、「お父さんお母さんは何も悪くありません。子どもの特性を考えず一斉教育を行っている学校が悪いのです」とか「子どもたちにプレッシャーを与える現代社会が悪いのです」などと言うことはいくらでもできます。もちろん、これはこれで考えていく必要のある問題でしょう。 でも、いますぐ学校や社会を変えることはできません。他人を変えることもできません。「あれが悪い、これが悪い」と言っていても何も変わらないのです(いじめや先生からの性的虐待(ぎゃくたい)などの犯罪行為は別です。相手が悪いことが明確なものについては学校、教育委員会、警察などに伝えて対応しなければなりません)。
「学校がこうだから仕方ない」「子どもの特性がこうだから仕方ない」と考えていると、当然ながら不登校は長引きます。 確かに、さまざまな事情がありますよね。「うちの子の場合は、特別な事情があって仕方ない」と思う人もいると思います。「ああ、それは大変ですね。仕方ないですね」と言ってあげたくなる気持ちもわからなくありません。 でも、それではずっとそのままです(しつこくてすみません)。 変えられるのは自分だけです。そして、自分を変えようと努力し、行動すると必ず状況は変化するのです。 このように思っている親御さんは、問題を解決できます。実際、どんな事情があっても、短期間で不登校問題を解決しています。 子どもは、親が問題を他人のせいにすることなく、行動することで状況を変えていくのを見ています。そして多くを学んでいます。「お父さんお母さんがいるから大丈夫」というところから、「自分なら大丈夫。何があっても乗り越えられる」と思えるようになっていくでしょう。 それこそが大事なことです。
今回紹介したのはこちら!
『不登校の9割は親が解決できる』 小川 涼太郎 (著)、小野 昌彦 (監修)/PHP研究所 たったの3 週間で不登校の9割を解決! TVや教育関係でいま大注目の著者による、初の著書! 本書では、不登校の子を平均 3 週間弱で再登校に導く独自プログラムを提供する著者が、 その驚きの内容を惜しげもなく公開します。 親の行動を変えることで子どもを変え、不登校を解消できる、魔法のようなメソッドが満載の1冊。 不登校に悩むすべての人を救う本。
〈著者略歴〉 小川涼太郎(おがわ・りょうたろう) 株式会社スダチ代表取締役 1994年3月26日生まれ、徳島県出身。関西大学経済学部卒業。2016年4月、新卒でアビームコンサルティングへ入社。1年目からプロジェクトリーダーに抜擢。2年目には新規部署の立ち上げメンバーを経験し、約2年間で0から50人規模のチームへと拡大。日常の業務の中から「教育が変われば人も変わり社会も変わる」ことに気づき、「教育へ人生を捧げたい」と強く思い、2019年5月に退職し、株式会社スダチを設立。不登校の子ども達に向けたボランティア活動を通して、多くの不登校の子ども達と関わる中で、「本当は学校に行きたいけど行けない、自分でも行けない理由が分からない」という“目的意識がない不登校”で悩んでいる子ども達や親御さんが多くいることを知る。その現状に危機感を感じて、「不登校で悩んでいる人たちを1人でも多く救いたい」という想いから、2020年4月、不登校支援事業開始。 2024年3月時点での再登校人数は850名を超え、平均再登校日数は18日。再登校率は90%を超える。本書が初の著書。 〈監修者略歴〉 小野昌彦(おの・まさひこ) 明治学院大学心理学部教育発達科教授 筑波大学大学院修士課程教育学研究科修了、同大学大学院博士課程心身障害学研究科中退。博士(障害科学:筑波大学)、公認心理師、専門行動療法士。宮崎大学名誉教授。専門は、教育臨床、障害科学。 1988年より不登校の系統的支援方法の研究を開始し、支援契約が成立・維持した公表許可事例50事例中49事例(1事例転校)の再登校、再登校維持、及び社会的自立を支援した。2000年より町、市単位での不登校減少対策に関わる。東京都東大和市不登校対策研究協力校スーパーバイザー(全市不登校数、約4年間で新規不登校発現率半減)、三重県名張市不登校対策スーパーバイザー(全市不登校数、3年間で半減)。他小中学校での減少事例多数。 主な著書に、『不登校の本質』『児童・生徒の問題行動解決ツール』『学校・教師のための不登校支援ツール』(以上、風間書房)、『教師と保護者の協働による不登校支援』(東洋館出版社、編著)などがある。