米民主党指導部、バイデン氏支持を呼びかけ
【ワシントン】米民主党の指導部や支援者は6月30日、ジョー・バイデン大統領を大統領選の候補とする方針を維持するよう党内に呼びかけた。先週の大統領選討論会を受け、新たな世論調査ではバイデン氏の指揮能力に対する懸念が示される中、選挙戦撤退を求める声を抑えることが狙い。
選挙当日まで約4カ月となる中、民主党はバイデン氏の難局を認めながらも、具体的な代替案を策定することには苦戦している。ドナルド・トランプ前大統領よりも3歳半年上のバイデン氏は、ジル・バイデン大統領夫人や家族など重大な政治判断を下す際に相談してきた人たちと共に、大統領山荘のキャンプデービッドで1日を過ごした。
週末にバイデン氏の資金調達集会を自宅で開いたニュージャージー州のフィル・マーフィー知事(民主)は30日、バイデン氏と一対一で言葉を交わし、ひどい討論会を行ったと「極めて率直に」伝えられたとインタビューで述べた。だが「方針を転換するような兆候は全くみられなかった」とも続けた。
最も高齢な米大統領であるバイデン氏本人もこれまで、選挙戦を継続すると述べている。また30日にはナンシー・ペロシ元下院議長(民主、カリフォルニア州)やラファエル・ウォーノック上院議員(民主、ジョージア州)、またメリーランド州のウェス・ムーア知事(民主)など、党の重要人物もインタビューでバイデン氏支持を表明した。
ペロシ氏はバイデン氏が討論会では不運な一夜を過ごしたとしながらも、依然として聡明(そうめい)だと指摘。米CNNとのインタビューで、「われわれはジョー・バイデン氏を間近で見ている。彼がいかに問題に対応し、情報に精通しているかを知っている」と述べた。
また週末には民主党の大口献金者の一部もバイデン陣営に接触し、バイデン氏を支持し続けること、また代替候補を検討する考えはないことなどを伝えている。
一方で舞台裏では、党幹部らがバイデン氏の討論会でのパフォーマンスと、それが11月の選挙にどのような影響を及ぼすか分析を続けている。民主党は上院選では厳しい戦いを強いられており、主導権を維持する可能性は低いとみられているものの、共和党から下院を奪還することに強気な姿勢を示している。だがバイデン氏の立場が弱まれば、このような見通しには懸念が生じることになる。
事情に詳しい関係者らによれば、一部の民主党の上院議員は誰が選挙戦から撤退するようバイデン氏を説得できるか、また説得できるような人物がいるのか激しく議論を続けている。話し合いの中ではバイデン氏と近い関係にあるクリス・クーンズ上院議員(民主、デラウェア州)や、バイデン氏が副大統領に就任した際に上院選挙区を引き継いだテッド・カウフマン前上院議員(民主、デラウェア州)などの名前があがっている。
米CBSニュースとユーガブが討論会後の28日と29日に実施した世論調査の結果では、バイデン氏が選挙に出馬するべきだと答えたのは登録済み有権者の28%にとどまった。一方で出馬するべきではないと回答したのは72%に達した。