65歳以降も「仕事と趣味を満喫できる人」が定年前に準備している5つのこと
65歳を超えて仕事を持つことは、世間一般には難しいとされている。特別なスキルを必要としない、時間を切り売りする仕事しか見つからない、と嘆く声を多く聞かれる(写真はイメージです) Photo:PIXTA
定年後は仕事抜きで旅行に趣味に時間を注ぐ……、そんな夢のような毎日を過ごせるかと思いきや、実際にはお金の不安や張り合いのなさからストレスが溜まってしまった。こういった悩みは定年後の多くの人が感じている、とコンサルタントの林田佳代氏は言います。そこで今回は『ニッチで稼ぐコンサルの教科書』(青春出版社刊)から、定年後にも自分を活かして働ける方法を抜粋して紹介します。
実はコンサルタントは、理想の仕事だった
仕事をしながら、プライベートの時間も充分に持てる。こんな働き方があることをご存じでしたか?
ワークライフバランスがとれていると感じる人は、ストレスレベルが低く、生活の満足度や幸福度が高いという報告があります。特に、今まで会社に勤めていて自分の時間が充分にとれなかった人にとって、仕事も旅行も家族との時間も大切にできるコンサルタントの仕事は、理想の働き方ではないでしょうか。
お金儲けだけではなく、社会の役に立ちたい。仕事を通して誰かの役に立ちたいと思っている人は多くいます。私の周りでは、そのような思いを持ったコンサルタントが、ワークライフバランスを重視して、幸せにお仕事をされています。みなさん、自分の強みを充分に活かして、仕事とプライベートのバランスがとれた、豊かな人生を歩んでいます。
私の経営する会社には研修講師、コンサルタント合わせて約600名がいます。どんな人が活躍しているかご紹介しましょう。
銀行で支店長の経験がある50代後半のIさんは、今まで多くの経営者の課題に向き合ってきました。当然、会社の決算書も見ることができます。過去の経験から、相談に来た会社が融資を必要としているのか、その前に経営の立て直しが必要なのか、会社の決算書を見るだけでわかってしまいます。
Iさんは「数字を見ると会社の状態がすぐにわかります」と言います。長年の銀行での経験がそのスキルを育んだのは間違いありません。しかし、当の本人は「そんなことはできて当たり前、周りの人も普通にできていたから」と言います。しかし業界が変われば、銀行マンが周りにたくさんいて、数字を見ることができるのが当たり前という状況も変わります。
今までいた世界から一歩出て銀行以外の世界に行くと、ご自身の「決算書を見ただけで会社の経営状態が手に取るようにわかる」といったスキルがキラキラと輝いてくるのです。
もちろん、ご自身が今いる会社や今までの環境から一歩外に出ないと、そのことには気がつきません。ぜひみなさんには、外の世界に出る勇気を持ってもらいたいです。そして「自分のスキルは他の人と違ってどこが魅力的か」を探してみていただけたらと思います。
とはいえ、自分で自分の良いところはなかなか発見できないもの。そのために志を同じくした仲間との勉強会が非常に重要になってきます。
将来に不安はありませんか?
自分のスキルの特徴に早くから気がついて、コンサルタントとして活躍を始めている人がいる一方で、定年退職や役職定年を前にして、自分のキャリアをまったく考えていない人もいます。
定年後は、「ゆっくり過ごしたい」「もう仕事は嫌だ」とおっしゃる方もいます。仕事をしていると毎日休みがあるなんて夢のようだ、と思うのでしょうが、休みが続くと、だんだんと不安な気持ちになってくる方もいます。
定年退職して、一定の期間は旅行したり、趣味を満喫したりしたとしても、また仕事をしたいと思ったときに仕事ができるノウハウを身につけておけば、安心して自由な時間を満喫できます。
毎日働いていた人が、外に出なくなったとたん、急に老けてしまうのを見ると、定年後に何もしない生活はお勧めできないな、と考えてしまいます。定年後環境が変わっても、毎日行くところがあって、やることがある毎日は、生活に張り合いが出るのだと思います。それがすなわち、若さにつながるのかもしれません。
人生後半戦に向けて今やるべきこと
終身雇用制度が完全になくなると断言することは難しいですが、雇用形態は間違いなく変化していくことが予想されます。
私たちは、変化する環境に適応するために、従来の終身雇用のあり方に頼ることなく自分のキャリアを自分で切りひらく必要がでてきました。より柔軟で多様な働き方を受け入れていくことが必要とされています。
少しずつ定年が延長されてはいるものの、現状は65歳を超えると企業に居続けることは難しい状況です。多くの方は50歳、55歳、60歳、65歳の区切りで、仕事やキャリアについて考えるタイミングを持つようです。
しかし、このように将来を考えることはあっても、実際に自分の将来のために行動を起こす人は少数派です。目の前の仕事が忙しい、まだ先で大丈夫と思っているなど、理由はさまざまですが、何をどうすればいいかわからない、という人がほとんどです。
65歳を超えて仕事を持つことは、世間一般には難しいとされています。今までのキャリアを活かせる仕事というよりは、特別なスキルを必要としない、時間を切り売りする仕事しか見つからない、と嘆く声を多く聞きます。
日本では、少子高齢化が急速に進行しており、2065年には生産年齢人口の割合が全人口の約50%まで落ち込むと推計されています。
一方で、高年齢者の身体機能については、2018年には男女とも65歳以上のいずれの年齢階級においても、20年前の水準を超えている(図表1)など、高年齢者の若返りが確認されています。
また、就業希望年齢として、全体の約2割が「働けるうちはいつまでも」と回答しており、約6割が65歳を超えて就業することを希望しています。
このような環境の変化に対応し、自分のキャリアを見据えて、何歳になっても働ける準備をしておくことが大切です。最近ではリスキリング(学び直し)の必要性も多く言われています。自分のキャリアを振り返って、磨く準備を始めましょう。
年代によってキャリアに対する悩みや不安の要素は違いますが、それぞれの年代で自分に投資できる時間とお金が変わります。自分自身のキャリアを見据えたときに、不安な要素は何かを見極めることが大切です。早めに準備をスタートすることで少しでも不安が少なくなるのではないでしょうか。
「何歳になっても働ける準備」そのポイントとは
準備をするにあたってはいくつかのポイントがありますので、ここでご紹介します。
■自己棚卸しによる強みと弱みの分析
自分自身の得意なこと、不得意なこと、やりたいこと、やりたくないことを分析します。
■知識とスキルの向上
学び直しの機会を自分から作ります。興味のあることや、自分のキャリアを活かせそうなこと、不足しているスキルを補う学びなどです。学び直しと言っても、今は学校に通わなくても、eラーニングや動画コンテンツなど自宅で学べる環境が整っています。興味のあることから一つでもスタートしてみましょう。
■社外の人との交流の機会を作る
情報を得るためにも、普段接することの少ない異業種の業界人や、社外のさまざまな年代の人と交流してみましょう。情報を得ることができ、気づきが与えられます。
オンラインコミュニティに入るのもお勧めです。オンラインコミュニティといっても、ときおりオフ会もありますので、そのような機会に出かけてみて交流をしてみましょう。情報交換するだけでも大きなヒントを得られると思います。
■実戦経験を積む
ボランティアでもいいので、今後、自分のキャリアになりそうな分野での実践を積みましょう。最初からプロとしてデビューした人はいませんので、小さな実践を積み重ねます。
自分の興味のある分野で、ボランティアで実践できる場所を探してみましょう。
■メンターを見つける
自分と同じ立場だった人で、一歩先にキャリアを見つけて進んでいる人は周りにいませんか? そのような人がいたら、情報交換をしてみましょう。きっと、何かしらの発見があります。その人の参加している交流会に一緒についていくなど、メンターを自分で決めて声をかけるといいと思います。
普段、忙しく仕事をしていると、5年後、10年後のことを考える時間がないかもしれません。ですが、将来をイメージしている人としていない人では、その後のキャリアに大きな差が出るのです。
ご自身のキャリアをイメージできていれば、終身雇用の限界も怖くありません。雇用は、年を重ねるといつか終了となります。終了となる前に、自分で自分のキャリアを切りひらくことが大切です。