【F1】角田裕毅はなぜ失速したのか…リアウイングにトラブル、旧式に変更もグリップ不足、次戦まであと4日、どこまで解析が進むのか
モナコGP用の特殊なリアウイングでフリー3回目を走る角田(チーム提供)
HRCの折原トラックサイドゼネラルマネジャー(尾張正博撮影)
まさかの失速だった。F1第10戦スペインGPに臨んだビザ・キャッシュアップRBの角田裕毅は、22日の予選で17番手に低迷。23日の決勝でも挽回できず、19位に終わった。
リタイアに終わった第5戦中国GP(4月21日)を除けば、今季ワーストのリザルト。舞台となったカタルーニャサーキットはマシンの総合力が問われるコースで、チームは多くのライバルチームと同様、満を持して最新版の空力パーツを投入してきていただけに、レース後もショックの色は隠せなかった。
なぜ失速したのか-。最初のつまずきは、初日(21日)のフリー走行1回目で、最新版パーツの一つであるリアウイングにトラブルが発生したことだった。DRS(空気抵抗低減システム)に問題を抱え、現場での修復が困難と判断したチームは、急きょ2台のマシンに搭載していたリアウイングを旧式に戻した。
ところが、旧式で走ったフリー走行2回目は、グリップ(接地)不足で15、16番手に低迷。同日夜のミーティングでも明確な原因がつかめず、ここから迷走する。なんと、22日のフリー走行3回目で、第8戦モナコGP(5月26日)で使用した特殊なリアウイングを使う荒療治に出たのだ。
これでグリップ力は増したが、今度は直線スピードがダウン。最高速は前日の時速325キロから時速315キロまで落ちた。ホンダレーシング(HRC)の折原伸太郎トラックサイドゼネラルマネジャーは、こう語る。
「さすがにストレートスピードが遅くなって戦えないということで、予選に向けて、フリー走行2回目に使用したリアウイングに戻した」。つまり、21日の夜に変更した車体調整はご破算。満足な変更も施せないまま、旧式のリアウイングでライバルたちと戦うこととなってしまった。
惨敗したレース後のミーティングで、チームは「『ファクトリーに戻って、きちんと解析しないとまずい』という危機感を持っていた」(折原氏)という。次戦オーストリアGP(30日決勝)開幕までの4日間で、どこまで解析が進むのか、注目される。 (尾張正博=F1ジャーナリスト)