「鬼手!」 菅井八段の角打ちに立会・福崎九段叫ぶ 王将戦第3局
王将戦第3局2日目の対局が始まり、向かい合う藤井聡太王将(手前右)と挑戦者の菅井竜也八段(同左)=島根県大田市の国民宿舎さんべ荘で2024年1月28日午前9時1分、北村隆夫撮影
島根県大田市の国民宿舎さんべ荘で指されている藤井聡太王将(21)と挑戦者、菅井竜也八段(31)の第73期ALSOK杯王将戦七番勝負(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社主催)の第3局は28日、2日目の戦いが始まり、55手まで進んだところで午後0時半からの昼食休憩に入った。残り時間は菅井八段2時間47分、藤井王将2時間10分。同1時半再開。
先手番の菅井八段が対藤井戦では初めて向かい飛車で挑んでいる本局。菅井八段の封じ手(45手目)は藤井王将の7二の飛車に当てた7三歩だった。控室でも本命視されていた手で藤井王将は少考で6二飛とかわした。
藤井王将は48手目で54分長考し、5七に打ち込んだ角を8四に成り返って強力な馬を作った。一方、菅井八段の角は駒台に乗ったまま。どこで使うか。菅井八段は8五歩(53手目)で王将の馬を追い、5七馬と再度、自陣に入られたところで角を5六のマスに打ちつけた。
「鬼手!」。控室のモニター画面に映った瞬間、立会の福崎文吾九段が叫んだ。控室では馬に当てる5八金左からの手順を検討していた。「タイトル戦でこういう手が出るのが面白いね。いい手かどうかは分からないが」と福崎九段。8三銀成として藤井王将の飛車を取るのと、3四角と相手の歩を取って出る狙いがあるが、「王将の側も手が広く(複数の候補手がある)、どちらもしくじれないところ」と続けた。
この手を見た藤井王将が36分考えたところで昼食休憩を迎えた。【新土居仁昌】