S&P500種、年内のさらなる上値余地は限定的か-MLIV調査
(ブルームバーグ): 投資家は米国株の割高なバリュエーションに対し、ますます神経質になっており、S&P500種株価指数は今年の上昇分のほとんどを既に記録した可能性が高い。最新のブルームバーグ「マーケッツ・ライブ(MLIV)パルス」調査の結果が示した。
今年これまでの上昇相場でS&P500種は終値ベースの最高値を31回更新したが、回答者586人の大半は、この資産クラスが米クレジット市場や金よりも割高になっていると回答。2022年10月以降、テクノロジー株にけん引される形で約50%急伸し、1957年までさかのぼる同指数の前身の中央値よりも大きな上昇を記録した。
US Stocks Are Viewed as Expensive | We asked: Which of these assets is most overpriced?
投資家はまだ売りに動くつもりはないが、年内に少なくとも10%の調整局面を迎えると約半数の回答者が予測し、35%は2025年にそうなると予想するなど、不安の兆候は明らかだ。この全般的な警戒感はオプション市場にも表れており、トレーダーはテクノロジー株の潜在的な損失に対するヘッジを構築している。
経済と企業利益の成長は続いており、金融システムには潤沢な流動性が存在するため、回答者の大半は、小幅ながらも年内にさらなる上昇の余地があると見ている。調査の予想中央値では、S&P500種が24年末に5606で終了し、21日終値から3%近く上昇するとみられている。これはウォール街ストラテジストの予測中央値よりも明るい見通しだ。ストラテジストらは、年末時点の指数について現水準とほとんど変わらないと予測している。
Treasury Yields Expected to Fall, Gold to Advance |
回答者の約4分の3は、今後1カ月間でS&P500種へのエクスポージャーを維持または拡大すると回答。ネッド・デービス・リサーチのエド・クリスソールド氏とタン・グエン氏は20日付のリポートで、当面は強気な波に乗るほうが得策だと指摘。ただ、今年後半に米金融政策や米大統領選など重要な材料を控えているため、両氏は先行きについては懐疑的だ。
「当面は株式オーバーウエートを維持すべきだ。しかし、第3四半期にはよりディフェンシブなポジションを取る準備をしておくべきだ」と両氏は説明した。
ジョーンズトレーディングのチーフ市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は、割高な株価バリュエーションを示す尺度として、経済規模に対するS&P500種の時価総額の比率を挙げる。1990年ごろ以降、2021年の株価急騰時を除き、この比率がこれほど高まったことはない。
「われわれはバブルの中にあり、今年後半に景気がついに減速し、株価収益率が縮小するリスクが極めて高い」とオローク氏は分析。「長期投資家にとって、株式を購入するには非常に危険な水準だ」と指摘した。
今年これまでのS&P500種の約15%上昇の主な原動力となった人工知能(AI)は、最も大きな売りの引き金になり得ると見られており、回答者の31%がその点でのネガティブサプライズを警戒している。
AIの代表的銘柄であるエヌビディアを筆頭にいわゆる「マグニフィセントセブン」と呼ばれる主要ハイテク企業が利益成長をけん引しているが、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の分析によると、向こう今後数カ月でこれら銘柄の影響力は弱まる公算が大きい。
経済に対する不安も最大の関心事となっている。回答者の約27%は、失業率の上昇に伴い株価が下落する可能性があると回答。約4分の1は、インフレ率が予想外に上昇し、連邦準備制度が金融政策をより長期にわたって据え置くリスクを指摘した。
5月の米失業率は4%と22年初め以来の水準に上昇。労働市場は「変曲点」に立っており、労働需要がさらに軟化すれば求人だけでなく雇用にも打撃を与える段階にあると、ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストは分析している。
調査は6月17日から21日にかけてブルームバーグ・ニュースの読者を対象に端末とオンラインで実施され、回答者にはポートフォリオマネジャーやエコノミスト、個人投資家が含まれる。
原題:Stocks’ Bull Run Has Little Upside Left in 2024: MLIV Survey(抜粋)
--取材協力:Vildana Hajric.
(専門家のコメントなどを追加して更新します)
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