鹿児島県警本部長を長官訓戒、記者会見で「隠蔽指示した事実ない」と強調…地検は前生安部長を起訴
鹿児島県警の前生活安全部長・本田尚志容疑者(60)が警察の内部文書を漏えいしたとして、国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕された事件で、野川明輝本部長は21日の記者会見で、自身が不祥事の 隠蔽(いんぺい) を指示したとする本田容疑者の主張について、「隠蔽を指示した事実はない」と改めて否定した。一方、警察庁は捜査状況の確認を怠ったなどとして、野川氏を長官訓戒とした。
鹿児島県警察本部
本田容疑者は5日の勾留理由開示手続きで、昨年12月の県警枕崎署員による盗撮事件について、野川氏が「泳がせよう」などと言い、不祥事を隠蔽しようとしたと訴えていた。
野川氏は会見で、盗撮事件について、県警首席監察官(当時)の報告では、署員が犯人であることの証拠に乏しく、捜査を尽くすよう指示したと説明した。その上で、本田容疑者が報告や指揮伺いに来たという事実は「一切ない」と強調。「泳がせようなどと指示した事実はない」と述べた。
記者会見する鹿児島県警の野川本部長(21日午後、鹿児島市で)=木佐貫冬星撮影
本田容疑者側が「内部通報のようなもの」と主張している、ライターへの内部文書の漏えいについては、公表を望んでいないストーカー被害女性の個人名が記載されていたことなどを踏まえ、「公益通報にはあたらない」との見解を示した。
県警が4月、曽於署巡査長による別の情報漏えい事件の関係先として、ニュースサイト運営会社(福岡市)代表取締役の男性宅を捜索したことについて、男性側は「報道への脅し」などと反発している。県警はこの日、「客観的証拠などを踏まえて、適切にやった」などと説明。巡査長と男性との間で、ある人物に関する犯罪歴の情報がやりとりされていたと明らかにした。
鹿児島地検は21日、本田容疑者を国家公務員法違反で鹿児島地裁に起訴。本田容疑者は同日、保釈された。
警察庁が24日から特別監察
警察庁は21日、鹿児島県警への特別監察を24日から実施すると発表した。県警で不祥事が相次いでいることを受けたもので、監察トップの首席監察官らを派遣し、野川氏ら幹部に一連の不祥事の経緯を聞く。原因を分析し、県警が7月中をめどにまとめる再発防止策に反映させる。