成田空港構想に県など四者間で同意 NAAは月内にも決定へ
構想で明らかになった新旅客ターミナルと新貨物地区の配置イメージ
「新しい成田空港」構想を巡り、千葉県は17日、周辺9市町、国土交通省、成田国際空港会社(NAA)との四者意見交換会を県庁で開いた。2029年3月を目標とする機能強化後も見据え、今月合意したNAA検討会の構想に同意。NAAは月内にも決定し、国に提出する。
成田空港に関する意見交換会に出席した(手前右から)熊谷俊人知事、田村明比古・成田国際空港会社長=2024年6月17日、千葉市中央区、竹中美貴撮影
構想は、現在三つある旅客ターミナルの集約時期を「30年代後半」と提案。「20年代後半」には着工するとした。事業費は旅客・貨物施設などに限っても、8千億円程度が必要なことが明らかになった。
この日の四者意見交換会は、冒頭あいさつ以外は非公開で行われた。終了後に取材に応じた県の空港担当者によると、周辺9市町側から地域事情に応じた要望は出たが、構想の方向性に異論は出なかったという。
また、四者意見交換会では、「成田空港周辺の地域づくりに関する『実施プラン』」に協力して取り組む方針でも一致した。プランは県などが20年3月に策定したもので、周辺9市町などの意見や現状を踏まえ、年内に改訂する。
プラン改訂案は、基本的な考え方を「『地域と空港を支える人材の確保』と『空港を生かした産業の発展』を起点とする地域づくり」と定義。32年度の将来像として「空港を核として、都市と田園が調和し、暮らしや産業の拠点として選ばれるエアポートシティ」を掲げた。
機能強化で最大6.4万人にのぼる雇用増加は周辺9市町から60%(約3.8万人)、9市町の人口を18年(約38万人)から4万人増の約42万人とするといった数値目標は、現行のものを踏襲している。
地域の人口が減少局面にある中、実現には困難も予想される。県は目標達成に向け、3本柱に取り組むとした。住宅整備や公共交通など「生活環境の向上」、中小企業振興や企業誘致など「産業振興」、道路など「インフラ整備」だ。
意見交換会後、熊谷俊人知事は「これは国家的プロジェクト。世界の空港に負けない空港をつくるため、周辺街づくりも含め、政府が主導的な役割を果たす責任があると県として強く訴えていきたい」と話した。
NAAの田村明比古社長は「周辺市町からアクセスやエアポートシティに大きな期待を持っていただいていると感じた。連携し、国に働きかけていきたい」と述べた。成田市の小泉一成市長は「成田空港の新しい姿が見えてきた。暮らしやすい環境整備を進めていく」と話した。(竹中美貴、小林誠一)