駒澤大学高等学校、強豪を次々と倒して東京2位で全国へ
駒澤大学高等学校イレブン(写真=矢島公彦)
全国高校サッカー選手権に過去4度出場し、2015年度の第94回大会と95回大会でベスト8入りした駒澤大学高等学校が、9大会ぶり2度目のインターハイ切符を獲得。決勝では帝京に競り負けたものの、強豪を次々と倒して東京2位となった戦いぶりは見事だった。
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今大会は1次トーナメントからの参戦。1回戦は都立三鷹中等教育学校を9-0と寄せ付けず、ブロック決勝も創価を2-0で下した。2次トーナメント1回戦は暁星に4-0で快勝し、3戦無失点で勝ち上がってきた。前門の虎、後門の狼。問題はここからだった。
2回戦の相手は、昨年度の第102回全国高校選手権ベスト4のレギュラーが6人も残る堀越。そんな強敵にひるむことなく2-1で勝った。
続いて準々決勝では関東高校大会を制した大成が待ち受けたが、FW岩井優太とDF西澤航星(ともに2年)のゴールで2-0と快勝する。
駒澤大学高等学校(写真=矢島公彦)
チームに携わって20年目、指揮を執って3年目の亀田雄人監督は、「基本的なことをしっかりやれたと思います。最後まで集中力を保ち、相手守備の穴をこじ開ける頑張りも見せてくれた」と説明した。難所はまだ続く。インターハイ出場を懸けた準決勝は、2連覇を狙ったプリンスリーグ関東2部の國學院久我山との決戦だ。
真夏のような暑さに加え、気温が上昇する午後1時キックオフという過酷な条件。前半は岩井や主将のボランチ寺尾帆高(3年)が、アグレッシブにゴールを狙った駒澤大学高等学校が優位に進め、國學院久我山はボールを保持していたものの、公式記録上でのシュートはなかった。
後半はますます暑さがこたえるようになり両チームとも次々とフレッシュな選手を送り込んで戦局打開を試みた。ベンチの期待に応えたのが、26分に投入された駒澤大学高等学校のFW岸本空(3年)だ。
後半37分に左サイドでFKを獲得。MF矢島礼偉(3年)が遠いサイドに送ったボールを岩井がヘッドで折り返すと、182センチの岸本がヘディングシュートを決めて先制。これが決勝点となった。
『信じる』が今年のチームのスローガン。亀田監督は言う。「2年生も好調でしたが、ここまでくるとやっぱり3年生の力を信じていたので、岸本と(FW)富田(澪)に期待した。最近、岸本は先発を外れていたから、ここで爆発してほしかった」と滑らかな口調でこう言った。
1回戦は先発したが、堀越との2回戦から控えに回った岸本は、「途中出場が続いて悔しさがあったので、折り返したボールを意地でもねじ込んでやろうと思いました」と滴る汗を拭いながら、精かんな顔をほころばせた。
相手のCBが大型ということもあり、「普通に競ったらいい状態でヘディングできないから、背後を取って視野から外そうと思った」と頭脳的な動きができることも、この人の強みのようだ。
後半の終盤にはロングスローなどから危ない場面が2度あったが、足も判断力も鈍らなかった。DF小池俊輔(3年)が最後尾で3バックを統率し、出足の一歩でも相手に先んじてゴールを割らせなかった。小池は「うちの守備陣はトップレベルですから、個の力で抑えられます。コミュニケーションもうまく取れたし、いい守りができました」と誇らしげに話した。
主将の寺尾は、この試合に懸ける思いとチームについて饒舌に語る。
「3年間、ここを目指してやってきた。メンバーやメンバー外の仲間が、ピッチ内外でしっかり戦ったのが勝因。ここまで6試合戦って勝負強くなった。試合前から負けるイメージがなかった。うちの応援団は東京一、いや日本一、感謝している。アディショナルタイムの9分?長いなって言ってられなかった。人生をかけてやっていますから」
真夏の熱戦は福島県が舞台だ。亀田監督は「東京代表として責任を持って戦い、全国に行ってから目標を前進させたい」とインターハイでも上位を狙っているようだ。
(文=河野正 写真=矢島公彦)