晴海フラッグで無許可キーボックス 2650戸分譲の街で一体誰が
朝日新聞の取材後、東京都が撤去するよう警告文を添付したキーボックス=2024年6月15日、東京都中央区晴海5丁目、小寺陽一郎撮影
東京五輪の選手村を改修した晴海フラッグ(東京都中央区晴海5丁目)やその周辺で、内部に鍵を保管する「キーボックス」が無許可で設置されていることが都などへの取材でわかった。朝日新聞が6月10日時点で取材したところ、敷地内や歩道などの屋外7カ所で確認した。誰が何の目的で設置したのか、記者が現地を取材した。
【写真】路上のキーボックス。その目的について、複数の不動産業者の見立てとは
晴海フラッグの中心部、2棟のタワーマンションの建設工事が続く足元の交差点。信号機を支える柱のひざくらいの高さに、銀色のキーボックスが2個、取り付けられていた。
金属製で、一部が南京錠のような形になっていて、両手に収まるサイズ。暗証番号でロックし、中に鍵などを収納できる構造になっている。晴海フラッグを歩くと、海に面した外周の歩道の転落防止柵でも1個見つけた。
晴海フラッグは五輪の選手村を改修したマンション群で、東京ドーム3.7個分の敷地にタワマンを含め分譲・賃貸マンションを23棟、5632戸作る計画。今年1月、分譲2690戸の入居が始まった。
■複数見つかるキーボックス マンション敷地内にも
東京都によると、転落防止柵のものについては、無許可で設置され、朝日新聞の取材後に警告文を添付。撤去されない場合は廃棄する。信号機のキーボックスについても無許可とみて、管理する警視庁に撤去するよう対応を求めた。中央区内では他にも似たようなキーボックスが複数設置されているという。
不審なキーボックスは、歩道上にとどまらない。
記者が晴海フラッグ内を歩くと、歩道からは、分譲マンションの建物に取り付けられているのも見えた。壁の配管や、植栽を固定するワイヤなどに、少なくとも4個が取り付けられているのを確認した。
マンションを管理する三井不動産レジデンシャルなど3社に取材すると、いずれも「設置を許可したものではなく、目的や所有者などについても一切承知しておりません」と回答があった。
晴海フラッグの住民の一人は取材に「『闇民泊』ではないのだろうか。気味が悪い」と漏らす。ただ、3社によると、住民で作るマンションの管理組合の規定は、民泊を禁止し、民泊に使われている事実も確認していないという。