MITのエコノミストが「AIによるGDPの増加は過大評価されている」と考える理由
AIは2024年も、職場に進出しそうだ。
- MITの最新の研究によると、AIの技術による生産性の向上は過大評価されている。
- AIによる今後10年間のGDP成長は、わずか0.93%から1.16%にすぎないと、経済学者のダロン・アセモグルは述べた。
- それは、ゴールドマンサックスなどが予測する影響のごく一部にすぎない。
人工知能(AI)の専門家と話をすれば、誰しもその技術による経済への影響が巨大であると言うだろう。
AIは生産性を上げ、人が行う仕事の効率性を高めると期待されている。そしてそれが、新しい成長の時代のきっかけになると考えられている。
ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)はAIによる経済の側面について強気であり、以前はAIによる労働への影響によって、世界のGDPが年間7%も押し上げられると予測した。バンガード(Vanguard)は最近、実質GDPが2028年から2040年に平均して2.3%を上昇する可能性があると予測した。
だが、マサチューセッツ工科大学(MIT)の経済学者は、それほど確信を持っていない。
全米経済研究所の最新の研究で、MITの経済学者であるダロン・アセモグル(Daron Acemoglu)は、AIの発展によって生じるアメリカ経済への影響は緩やかだと予測している。
「私の概算で、今後10年間のGDPの成長は、0.93%から1.16%と控えめになるはずだ」と、アセモグルは述べた。
「その技術が投資ブームを加速すると仮定するなら、1.4%から1.56%に増加する可能性はある」
この低い予測値は、AI が実際に全要素生産性(TFP)をどの程度向上させることができるかについての見通しが控えめであることが要因だ。その数値は小さくはないが控えめなものになるとアセモグルは述べている。
特に、文脈に大きく依存する意思決定などの「学習が難しいタスク」に直面したときにそれが顕著になる。研究によると、現在の予測の多くは、簡単なタスクしか考慮していないため、生産性の向上が過大評価されているという。
だが、難しいタスクと考えると今後10年間のAIによる生産性向上は0.53%まで落ちる。