脂肪をぐんぐん燃やしたい人におすすめ、朝食前の「ガチゆる」ランニング
写真はイメージです Photo:PIXTA
やせるために効果的なのは、朝食前のランニングだ。脂肪を燃焼させながらゆっくり走る習慣を得て、5kmイベントに参加しよう。目標を設定すると、練習がますます楽しくなる。レースが持つ不思議な魅力とは。※本稿は、倉島万由子著『楽しいから続く、続くから効果が出る くせになるランニング』(日本実業出版社)の一部を抜粋・編集したものです。
朝食の前に走るのがおすすめ
「ガチゆる走」で時短やせ!
やせるためには、朝食の前に走るのがおすすめです。
体内でグリコーゲンが減る(食事前の状態になる)と、脂肪を燃焼させる脂質代謝が促進されます。つまり、何かを食べる前の朝練は、脂肪燃焼スイッチが入りやすいのです。
同じ強度・時間で走った場合、エネルギーと炭水化物の不足状態をつくり出している朝食前のランニングは、他の時間帯で走るよりも総脂質酸化量(脂肪が燃焼されてエネルギーになる量)が92%も多いという研究結果が出ています。
やせることを目的にするなら、「ガチゆる走」をおすすめします。
「ガチゆる走」とは、「ガッチリ走り」と「ゆるゆる走り」を組み合わせる走り方です。
「ガチゆる走」は、インターバルトレーニング(少しの休み・ジョグを挟んで続けるスピードトレーニング)、ヒルトレーニング(坂道ダッシュ)など強度の高い練習(「ガッチリ走り」)の後、ゆっくりジョグを30分~1時間ほど行なって(「ゆるゆる走り」)仕上げます。
この練習方法は心肺機能を高め、走る底力を上げ、やせることにも効果を発揮するという研究結果が報告されています。やせるプロセスは、次の通りです。
(1)「ガッチリ走り」で血中乳酸濃度が高まり、成長ホルモンやアドレナリンが多く放出される。これらが脂肪分解を促進することで、遊離脂肪酸(エネルギーの源として活用される脂肪分)が発生
(2)遊離脂肪酸が発生した後に、低強度の運動(ジョギングなどの「ゆるゆる走り」)を加えることで、脂質代謝が促進され、ぐんぐん脂肪が減る
脂質代謝は通常、長い時間の運動で促進されますが、この走り方をすれば、時短でやせることも可能になります。
無理なくゆっくり走る
「LSDラン」のススメ
脂肪が燃焼し出すのは、運動をはじめて約20分経ってからと言われています。スポーツジムなどで「20分以上は走り続けてください」と言われるのもその理由からです。
運動時間が長いほど、脂肪の燃焼が進みます。長く運動する時は、低強度が理想です。つまり、ゆっくり長く走る「LSD(Long Slow Distance)ラン」で脂肪燃焼が促進されます。ゆっくり無理のない速度でも問題ないので、できれば90分以上を目標に走るとより効果的です。
1人だけで90分を走るのは大変ですので、週末などに友人と一緒に走るのも良いでしょう。私はよく友人に「おしゃべりランをしよう」と提案します。友人としゃべりながら走っていると、時間が経つのが早く、話し足りなくて、「もうちょっと走ろうか?」となることもあるくらいです。
「おしゃべりラン」が良いのは、時間を感じさせないことに加え、会話することで心拍も鍛えられることです。まさに一石二鳥ですね。ぜひお試しください。
私は、朝イチでラン友と話しながら2時間くらい走ることがあります。話が尽きず、あっという間に時間が経って、1人で走る時にはあり得ないほど時間が早く感じます。
もしお子さんが運動好きなら、ぜひお子さんと一緒に走る時間を取ってみてください。
私たち夫婦は、息子が1歳前の頃からレース会場に連れ回していたこともあって、息子は走ることが日常に普通にあるものとして育ちました。親がいつも楽しそうに走っているので、「走ることは楽しいに違いない!」と思っていたそうです。
「人の後ろについて走る」ことも、「誰かとラン」としておすすめです。同じコースをマイコースにしている人はいませんか?
皇居の周りなどたくさんの人が走っている場所は、自分よりちょっと速いペースで走る人を見つけやすいです。
1人ではどうしても自分のペースから抜け出せず、ペース感がつかみづらいので、ここぞという練習をする時は、今日のラン友を見つけて一緒に(心で)走ってみてはいかがでしょうか。
5kmイベントに参加して
がんばりを「見える化」
ただ何となく走るより、明確な焦点があったほうがスケジュールも立てやすく、「ゴールまでは行き着こう」とランニングを続けられやすくなるものです。その小さな目標として最適なのが、5kmという距離です。
5kmであれば3カ月くらいランニングを続ければ、十分に達成できます。5kmのレースやイベントを設定すれば、期限に向けて、がんばる気持ちが持続します。
5kmのレースはRUNNETやスポーツエントリー、e-moshicomなどで検索してみてください。お住まい近くのレースもきっとあるはずです。
ランニングの継続を促す
イベント参加の魅力
レースに出たことがない人は、レースを「ハードルが高いもの」と感じてしまうかもしれませんが、そんなことはありません。制限時間が短い、アスリートやベテランランナー向けの大会もありますが、多くの大会は途中歩いても完走できる制限時間で、参加するすべてのランナーを応援してくれるものです。
『楽しいから続く、続くから効果が出る くせになるランニング』 (日本実業出版社) 倉島万由子 著
レースディレクターと話をすると、どのディレクターもランニングの初心者に優しい大会づくりを目指していると言います。
初心者が無理なく参加でき、走ることを楽しめる、家族や仲間と参加できる大会へと変わってきています。走るすばらしさを広めたい、走る裾野を広げたいという気持ちは、どのディレクターも同じです。3カ月後に5kmのレースに参加している自分を、妄想しながら走ってください。それだけで練習は一段と楽しくなります。
レース参加後に自分がどう変わるかを、ぜひ体験してみてください。次の3カ月後にまたレースを入れたくなるはずです。ただランニングを繰り返すよりも、レースに出ることで、練習が退屈なリピートではなくメリハリがついて、あっという間に3カ月がすぎているはず。レースには、そんな不思議な力があります。