安倍派事務局長、法廷で幹部と食い違う証言 「会合で還流継続決定」
安倍派事務局長の松本淳一郎被告=2023年12月19日
自民党派閥「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化したとされる事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で在宅起訴された同派事務局長の松本淳一郎被告(76)の第2回公判が18日、東京地裁であり、被告人質問が行われた。派閥側から議員側への還流について、松本事務局長は「2022年8月の幹部会議で継続が決まった」と述べた。
これまでにあった政治倫理審査会や会見で、事務局長と同様の説明をしたのは安倍派座長だった塩谷立・元文部科学相のみ。下村博文・元文科相、西村康稔・前経済産業相、世耕弘成・前党参院幹事長の3議員は「8月の会議では結論が出なかった」などと答えており、説明の食い違いが改めて浮き彫りになった。
安倍派では所属議員がパーティー券の販売ノルマを超えて集めた売上金について、派閥から議員側に還流したり、議員側が中抜きしたりした上、一連の資金の流れを政治資金収支報告書に記載しない処理を長年続けていた。会計責任者だった事務局長は22年までの5年間の収支報告書に、計約13億5千万円の収支を記載しなかったとして在宅起訴された。
この日の被告人質問で事務局長は、22年3月ごろに安倍晋三・元会長から「いまの還付のやり方はいろいろ問題があるんじゃないか」と指摘を受けた、と説明。翌4月、安倍氏に加え、当時の会長代理だった塩谷氏、下村氏、西村氏、世耕氏と協議した結果、還付をやめることが決まった。安倍氏をのぞく4議員で手分けして派閥の議員に還付中止を連絡したという。
安倍氏死去後の22年7月下旬に、事務局長は「ある幹部」から「還付を続けてほしいと言っている議員がいる」との要望を伝えられた。これを受けて8月、4月の幹部会議と同じメンバー(安倍氏をのぞく)で議論。「還付を求める議員は複数いる。還付はやむなしということで、還付を再開することに決まった」という。