【日本市況】欧州政治不安が後退し株反発、米金利上昇で債券は下落
(ブルームバーグ): 18日の日本市場では、フランスの政治不安後退を背景にリスク資産に資金が戻り、株式が反発。債券は米国金利上昇の流れを引き継いで下落し、円は1ドル=157円台後半を中心にもみ合った。
17日の仏株式相場は3日ぶりに反発した。極右政党の国民連合(RN)を率いるマリーヌ・ルペン氏が次期国政選挙で勝利した場合、マクロン大統領と協力すると発言したことで、政治混迷による投資家のリスク回避姿勢が和らいだ。フランス国債の急落も一服し、独仏債のスプレッドは6日ぶりに縮小した。
【欧州市況】仏債が独債をアウトパフォーム、6日ぶりスプレッド縮小
国内では金利の先高観が根強い。日本銀行の植田和男総裁は18日の参院財政金融委員会で7月の金融政策決定会合について、会合までに入手できる経済・物価・金融情勢に関するデータや情報次第としながらも、「場合によっては政策金利が引き上げられるということも十分あり得るというふうに考えている」と語った。
7月会合での追加利上げ、「場合によっては十分あり得る」-日銀総裁
東証株価指数(TOPIX)の終値は前日比0.6%高の2715.76日経平均株価は1%高の3万8482円11銭 |
長期国債先物9月物終値は前日比13銭安の143円95銭新発10年債利回りは1.5ベーシスポイント(bp)高い0.94% |
円は対ドルで前日比0.1%安の157円88銭-午後3時過ぎ |
株式
東京株式相場は反発。欧州の政治不安後退や米国の堅調な製造業景況指数が追い風となり、電機や自動車、機械などの輸出関連株が上昇した。
TOPIX構成銘柄2139のうち1479銘柄が上昇、560銘柄が下落した。東京エレクトロンがTOPIXの上昇寄与度1位となるなど半導体や電子部品関連株が買われ、モバイル契約数が順調に伸びた楽天グループ、「スーパーマリオ」新アニメの日本での劇場公開日を2026年4月24日と決めた任天堂も高い。
17日の米株式市場では大手テクノロジー株にけん引されてS&P500種株価指数が最高値を更新。6月のニューヨーク連銀製造業景況指数は前月から持ち直し、市場予想を上回った。
大和証券の細井秀司シニアストラテジストは、欧州の政治情勢など市場の不安材料が一服したことや米経済のソフトランディング期待の高まりを背景に日本株は反発したと指摘。株主総会シーズンを控え、追加の株主還元策が出る可能性もあるため、バリュー株が引き続きアウトパフォームするだろうと語った。
TOPIXの日中の動き
債券
債券相場は下落。米国で長期金利が需給悪化懸念で上昇した流れを引き継ぎ、売りが優勢だった。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、7月の日銀会合で国債買い入れ減額計画の決定を控えていることも債券相場にとって重しと指摘。この日実施された定例の国債買い入れオペでは、一番需給が悪く売られている25年超を対象とするオペがなかったことで「同ゾーンに売りが出ている」と話した。
日銀は午前10時10分の金融調節で定例の国債買い入れオペを通知。対象となる全年限の買い入れ額を前回オペから据え置いた。オペ結果はおおむね無難だった。
新発国債利回り(午後3時時点)
0.280% | 0.515% | 0.940% | 1.785% | 2.155% | 2.310% | |
前日比 | -0.5bp | +1.0bp | +1.5bp | +2.5bp | +3.5bp | +3.0bp |
長期国債先物の取引推移
外国為替
東京外国為替市場の円相場は対ドルで157円台後半中心にもみ合った。午前は日銀の植田総裁が7月会合での追加利上げの可能性に改めて言及したことで、157円台半ばまで買われる場面も見られたが、午後はオーストラリア・ドルの上昇に伴う円売りの影響を受け小幅安に転じた。
スタンダードチャータード銀行の江沢福紘フィナンシャルマーケッツ本部長は、豪中銀総裁の発言を受けた豪ドル・円の上昇にドル・円もつられたと説明。「植田総裁が利上げに再言及した場面で売った向きからポジションの巻き戻しも入ったのではないか」と話した。
日本時間今夜に発表される米国の小売売上高や連邦準備制度理事会(FRB)高官の発言を見極めるムードが強い中、江沢氏は「ドル・円相場は小じっかりした展開が続く」との見通しを示した。
ドル・円の推移
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