「僕の知ってるイカはまるでゴムのように固いけど」…「スウェーデン人」と「タイ人」が「日本の刺身」を食べて驚いたこと
3月に続き訪日外国人旅行者数300万人超を記録
日本政府観光局(JNTO)が2024年5月15日に発表した2024年4月の訪日外国人旅行者数(推計値)は、304万2900人となった。
300万人を超えるのは、過去最多を記録した先月に続き2か月連続で、前年の同月比56.1%増、コロナ禍以前の2019年同月と比べても4%増という結果となった。
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4月は桜のシーズンということもあり、この時期だけの景色を目当てに訪れた観光客が多かったことや、相変わらずの円安も需要に影響したようだ。また、今年の3月から4月にかけては、ムスリム(イスラム教徒)の「ラマダン」の時期にあたる。断食明けの海外旅行需要も増えたと見られている。
訪日外国人旅行者を地域別にみると、最も多いのは66万1200人の韓国、次いで中国が53万3600人、その下に台湾45万9700人、アメリカ22万8900人、香港18万4500人が続く。距離も近いアジアの地域から訪れる外国人が多い傾向にある。
また、観光庁の「訪日外国人消費動向調査2024年1‐3月期」(1次速報)では、訪日外国人旅行消費額は1兆7505億円と推計された。これは昨年の同期比で73.3%増、コロナ禍以前の19年同期比で52%増という数字だ。
訪日外国人の旅行支出は1人あたり20万9000円と推計されている。円安の影響により、5月の大型連休前にはハワイ旅行にカップ麺を持参して旅行先での消費を抑えるという節約術が話題になったが、外国人にとっては円安が日本を訪れる理由のひとつにもなっている。外国人特需により、主に人気観光地やその周辺の地域で、外国人旅行者向けに高価格に設定されたメニューを出すレストランも増えている。
MomokaJapanが人気なワケ
この流れから、国内の日本人向けと外国から訪れる旅行客向けの料金設定を分けるべきではないかという意見も増えてきている。
物価高にあえぐ国内の声をよそに、観光地などでは外国人旅行者を対象にした高額の体験を提供するサービスや、高価なグルメが盛り上がりを見せている。外国人旅行者の取り込みに意欲的な飲食店も増えてきた。
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SNSでの紹介により、外国人旅行者が殺到する飲食店も多く、SNSの波及効果は大きい。そんな中、話題を集めているのが、日本食YouTubeチャンネルの「Momoka Japan」だ。
道行く外国人観光客や日本在住の外国人に声をかけて日本食を体験してもらうことを目的とするこのチャンネルは、2024年5月現在でチャンネル登録者数87万人を超える人気チャンネルだ。動画の撮影は「仕込みなし」「台本なし」「一発撮り」がモットー。インタビュー対象者が日本食を食べるときの噓のないリアクションや、英語が堪能なMomokaさんとの楽しいコミュニケーションが人気の理由となっている。
「MomokaJapan」の動画のコメント欄には、「このチャンネルは出てる外国の方も観てる視聴者も幸せしかない」という声や、「ももかさんのチャンネル最近すごく急成長しましたね。初期の方から見てる自分も本当に嬉しいです」という初期からのファンの言葉、「MomokaJapanを視聴していて朧気に思っていた『英語話せたらいいなぁ…』が、『英語話したい!』に変わりました。今年の目標が出来ました!」という、Momokaさんの英語のコミュニケーションを見て英語を話すことに意欲的になったという声が並び、動画を楽しみにしているファンが多いことがよくわかる。
この記事では、「MomokaJapan」の動画の中でも250万回に迫る再生回数の人気動画「こんなに美味しいの!?観光客が本場の日本食に感激」の内容を紹介する。
全く臭みのない海鮮料理に驚き
この動画の中でMomokaさんのインタビューを受けたのは、スウェーデン出身のクリストファーさん26歳と、タイ出身のアラヤさん。2人の出会いはクリストファーさんの出身地スウェーデン。付き合い始めてもうすぐで1年のカップルだ。今回、2人は初めて日本に訪れた。この日までに食べたもので、アラヤさんは海鮮丼、クリストファーさんは寿司が気に入ったという。
そんな2人を海鮮料理が食べられる和食のお店に案内し、料理が運ばれてくるまでの間、この旅行で2人が訪れた場所を尋ねる。初日は富士河口湖へ訪れて富士山が見える部屋を予約したが、残念ながら雨が降っていて富士山は見えなかったそう。しかし、「食べ物は適当なお店に入ってもおいしい」と、食の体験はいいことばかりだったようだ。
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旅行先に日本を選んだのは、クリストファーさんの小さいころからの夢だったからだという。あまりに期待が大きいと、実際とのギャップに落胆することも多いが、2人は「期待を超えてきた」と満足の表情。
ビールで乾杯し、お通しを食べながら、食文化の話題になる。「あなたの国で魚は食べる?」というMomokaさんの質問に、「食べるけど高価。サーモンは一般的かな」とクリストファーさん。アラヤさんは「日本の魚についてのドキュメンタリーを観た」という。日本人はいろんな種類の魚を食べるということに驚いたそうだ。
そこに運ばれてきたのは、数種類のお刺身の盛合わせ。マグロにブリ、鯛、ヒラメ、イカ、甘エビ……と、2人ともひとつずつ真剣に味わってくれる。どの魚も、食感や臭みのなさに驚いていた。特にイカについては「僕の知ってるイカはまるでゴムのように固いけど、これはやわらかい」とクリストファーさん。また、甘エビも気に入ってくれたようで、「名前のとおり甘い!砂糖水の中で育ったの?」とアラヤさんの例え方がおもしろい。
続いての料理は、深海魚「げんげ」の唐揚げ。富山湾で獲れる食材だが、メジャーな魚ではないので日本人でも知っている人は少ないかもしれない。もともとは、そのグロテスクな見た目と、劣化の早さから漁師の間では「下の下(げのげ)」と呼ばれて捨てられていた雑魚だというが、今やめったにお目にかかれない「幻魚(げんげ)」となっている。
そして次は加賀野菜の天ぷら。石川県金沢市で生産されるもののうち、15品目が伝統野菜の「加賀野菜」として認定されている。金沢春菊の天ぷらを食べ、「天ぷらって絶対おいしいから好き」と笑顔がこぼれるアラヤさん。れんこんなどの初めて見る野菜も食感に驚きながら食べてくれた。
その後も、和牛にブリカマに、と次々と料理が登場する。2人はこの日までブリがどんな魚かを知らなかったようだが、すっかり脂がのったブリの魅力の虜だ。肉も魚も、塩だけで味付けした食材の味わいに着目していたのが印象的だった。魚料理を食べる2人の様子に、視聴者からは「魚を扱う仕事してますがこんなにも味わって食べてもらえると嬉しいです」「誰かの幸せな顔を見ると自分も幸せな気持ちになりますね。ありがとう」といった感想コメントが寄せられた。
さらに連載記事<カナダ人が「日本のトンカツ」を食べて唖然…震えるほど感動して発した一言>もぜひご覧ください。