「ガタン」と大きな音で新幹線停止、乗客は車内に3時間閉じ込められ徒歩で最寄り駅に…「また地震かと不安に」
立ち往生した新幹線から、はしごを使って線路上へ降りる乗客ら(23日午後1時17分、さいたま市で、読売ヘリから)=西孝高撮影
東北、上越、北陸の各新幹線で23日に発生した停電の影響で、上野―大宮駅間では上下線計4本が緊急停止し、東京駅に向かう北陸新幹線では乗客が約3時間にわたって車内に閉じ込められた。新幹線の停車駅は、足止めされた利用客らで混乱。スケジュール変更を余儀なくされた旅行客から不満の声が上がった。
金沢駅を出発し、東京駅に向かっていた北陸新幹線「かがやき504号」は、さいたま市中央区の高架上で緊急停止した。乗っていた女性(34)は「その直前、窓の外で細長い物が落ちるのを見た」と証言する。「ほぼ同時に『パシャーン』という音がして、座席横の窓ガラスがクモの巣状に割れた。一瞬の出来事だった」と硬い声で話した。
同じ列車で都内へ向かっていた富山市の女性(74)によると、突然、「ガタン」という大きな音がした後に停車した。「能登半島地震を経験したので、また地震かと不安になった」と振り返った。
「かがやき」には乗客359人が乗っていた。停電から約3時間後の午後1時頃から、消防隊員らの誘導で線路上に次々と降り、近くの非常階段から地上に移動。徒歩で近くの与野本町駅に向かった。車いすの乗客は隊員が体を抱えて運んだ。
その現場付近では午後2時40分頃、「ドーン」という爆発音が響き、白煙が上がった。直後に「感電事故で人が燃えている」など119番通報が相次いだ。
JR東日本によると、現場では、復旧作業の準備にあたっていた作業員が感電。別の作業員もやけどを負い、2人とも救急搬送された。
東北、上越、北陸の各新幹線は東京―大宮駅の区間で同じ線路を使用している。影響は各新幹線に広がった。
上越、北陸新幹線が通る高崎駅の改札口前では23日昼過ぎ、運行情報を求めて立ち止まる利用客の姿が見られた。
長野県内の大学に新幹線で通学している群馬県高崎市の大学2年生(20)は「こんなことはめったにない。驚いた。きょうは大学を休むしかない」と話した。
東京駅でも大勢の旅行客らが足止めされた。宮城県大崎市の鳴子温泉に夫婦で旅行する予定だった東京都大田区、主婦(67)は、宿泊先の旅館をキャンセル。「温泉をとても楽しみにしていたので残念……」とため息をついた。