自民国会議員が政治資金パーティー開催 見送り方針の県連は戸惑いも
林幹雄・元自民党幹事長代理
自民党千葉県連所属の国会議員が相次いで政治資金パーティーを開く。県連会長の桜田義孝・元五輪相(衆院比例南関東)と、林幹雄・元党幹事長代理(千葉10区)だ。党派閥の裏金事件を受け、県連は今年の県連主催パーティーの見送りを決めている。議員個人のパーティー開催に制限は設けていないものの、党への逆風が吹く中での開催に、県連内や地元首長の間では戸惑いや批判的な声も出ている。
桜田義孝・元五輪相=2021年8月25日、千葉県庁、石原剛文撮影
裏金事件を受け、県選出の松野博一・前官房長官(千葉3区)と林氏には、いずれも党役職停止1年の処分が4月に下ったばかり。県内でも党への風当たりは依然強いままだ。
そんな中、桜田氏は今月18日に東京都内で、林氏は同28日に千葉市内で、それぞれ政治資金パーティーを開く。関係者によると、いずれも会費は1人につき2万円で、軽食が出るという。
開催を巡っては、県連方針との整合性を問題視する声もあり、県連内の受け止めも様々だ。
「地方議員たちに示しがつかない」「国民は『ふざけるな』という状態。何を考えているんだ」「政治センスを疑う」などといった批判がある一方、「招待状が届いた以上、地元の議員は行かざるを得ない」といった諦めに近い声も聞かれる。
支援する地元の首長も思案顔だ。
林氏からの「招待状」が届き、出席を予定しているという首長は「私は招待されているけど、一般の方は会費が2万円。来られる方は『どうなのかな』と思っていると思いますよ」と話す。別の首長は「政治資金パーティーに厳しい視線が集まる中、近隣市町の首長の動きを見てから出欠は判断する」と様子見の状況だ。また、別の首長は「この時期ですからね。ちょっとセンスを疑います」と眉をひそめた。
本人や開催者側はどう考えているのか。
桜田氏は朝日新聞の取材に、事務所を通じて文書で回答した。「県連として、所属衆参議員が独自に開催するパーティーの可否については、特段の意思決定は下していない」と説明。自身のパーティーについては「毎年1回開催している。適正・適法に政治資金の報告をしている」としたうえで、「国会での政治改革の議論の展開を注視している」とした。
一方、林氏は、事務所を代表して秘書が電話で対応した。林氏の秘書は「(派閥から還流された金の政治資金収支報告書への)不記載については真摯(しんし)に反省し、党役職1年停止の処分も甘んじて受けた」としたうえで、「議員バッジを付けている間は、政治活動は粛々と合法的にやるという方向だ。例年は夜に(パーティーを)開催しているが、今回は昼にしてアルコールも出さない(配慮をした)」と説明。県連方針との整合性については「県連は県連、うちはうち。個人の政治活動という認識だ」と語った。(原口晋也、根岸敦生)