猛暑が続くメキシコ、絶滅危惧種のサルたちが暑さのあまり木から落ちて死んでいる
- メキシコでは暑さのあまり、サルが木から落ちて死んでいる。
- 脱水症状でサルは「数分で」死んだと生物学者のジルベルト・ポゾ(Gilberto Pozo)氏はAP通信に語った。
- 調査によると、1993年から2013年の間に、猛暑によって世界経済に平均16兆ドル(約2500兆円)の損害が生じたという。
強烈な熱波に見舞われているメキシコでは、暑さのあまりサルが木から落ちて死んでいる。
今週、最高気温が45度を超えると予想されているメキシコ南東部のタバスコ州では、最大85匹のホエザルが死んでいるのが見つかったとロイターが現地メディアを引用して報じた。
その鳴き声で知られるマントホエザルは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に分類されている。
タバスコ州の森林では現地当局とボランティアが死んだサルを回収していて、残りの動物たちがこの熱波を乗り切れるように、サルの生息地の周辺に水や果物の入ったバケツを置いている。
サルのために、水を入れたバケツを用意するボランティアの人々(2024年5月18日、タバスコ州コマルカルコ)。
AP通信によると、心配したボランティアの中には保護したサルを地元の動物病院に連れてきた人もいるという。
「彼らは助けを求めてきたんです。トラックに積んできた動物を調べてもらえないかと頼んできました」と獣医師のセルジオ・バレンスエラ(Sergio Valenzuela)氏は5月20日、AP通信に語った。
「お金がないので、タダで診てもらえないかと言われました」
バレンスエラ氏はボランティアによって運ばれてきた5匹のサルを治療したという。いずれも脱水と発熱で予断を許さない状況だった。
保護されたサルにエサを与える獣医師(2024年5月21日、タバスコ州テコルティリャ)。
「サルたちはぐったりしていました。熱中症でした」とバレンスエラ氏は語った。
タバスコ州の市民保護局はロイターの取材に対し、サルの死は脱水症状によるものだとコメントしている。また、同局の関係者はタバスコ州の3つの自治体でサルが死んでいるのが見つかったと認めた。
生物学者のジルベルト・ポゾ氏は、サルの死は5月5日頃から相次いでいて、週末にピークに達したとAP通信に語っている。
「サルたちはリンゴのように木から落ちていました」とポゾ氏は言う。
「ひどい脱水状態で、数分で死んでしまいました」
サルたちは暑さで弱っているため、高所からの落下は重傷につながり、死に至ることもあるとポゾ氏は話している。
メキシコ環境省は5月20日、サルの死因を特定するために協力を調整していたとコメントした。また、住民に対して、サルの死骸を見つけた場合は直ちに当局に通報するよう呼びかけた。
AP通信によると、メキシコでは猛暑が続いていて、その影響で3月以降、少なくとも26人が死亡している。
5月の初めには、首都を含む10の都市で記録的な高温が観測されたとロイターは伝えている。5月9日、首都メキシコシティでは最高気温が34度を超えた。
温室効果ガスやエルニーニョ現象などの影響で、世界各地で気温が上昇している。
猛暑はわたしたちの身体や環境に悪いだけではない。経済にも大きく影響する。調査によると、1993年から2013年の間に、猛暑によって世界経済に平均して16兆~50兆ドルの損害が生じたという。