開志学園・斎藤康太「ヒットの延長がホームランに」覚醒を予感させる大器が大暴れだ/新潟
開志学園の期待の大砲が、ベールを脱ぐ。高校通算20本塁打の大会注目スラッガー、斎藤康太内野手(3年)が打線を引っ張る。今春は、バックスクリーンに特大本塁打を放つなど、2季連続4強入りに貢献した。初登場となる2回戦は、8日に五泉-新潟の勝者と対戦する。覚醒を予感させる大器が、大暴れする。
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スラッガーがひと振りが、球場の雰囲気を変える。189センチ、88キロの鍛え上げられた体格から斎藤は、すさまじいスイングを繰り出す。「まだまだ細いっす」と照れながらも、「飛距離にはあまり困っていないというか。ライナーを意識しても(スタンドには)入る感覚はある」と自信をのぞかせた。
衝撃的なアーチをかけた。今春から「飛ばない」と言われる低反発バットが全国で導入された。実際に、飛距離は5~6メートルほど減少するデータがあるが、斎藤は違った。「4番一塁」で出場した3回戦、新潟明訓戦の第2打席。バットの芯で捉えたライナー性の打球は、ぐんぐん伸びていくと、バックスクリーンに飛び込む特大の2点本塁打となった。
この1本について、あらためて振り返った川上大輔監督(35)は「いや、低反発であんなのを打ったのは斎藤だけですよ。他ではまだ見たことない。改めてすごい打球だなって思いますよ」。指揮官も思わず笑いながら絶賛する一打だった。
だからこそ、斎藤は「まだまだこんなもんじゃない」という。準決勝の日本文理戦では、4打数無安打で3三振。好機で打てなかった。「大事な場面で打ってこその4番なので。次はもっと点を稼ぎたい」と夏で挽回するつもりだ。
普段は、あどけなさが残る17歳。「みんなで甲子園行きたいっす」と満面の笑みで話した。本塁打だってそう。「狙いすぎずですけど、ヒットの延長がホームランになれば。その結果、量産出来ればうれしいです」。グラウンドでも、その笑顔を輝かせる。【大島享也】
◆斎藤康太(さいとう・こうた)2007年(平19)1月16日、新潟市生まれ。東青山小2年から野球を始める。小針中では新潟ボーイズに所属。好きな野球選手は元阪神の金本知憲。189センチ、88キロ。右投げ左打ち。血液型はO。
○…亀山心太(しんた)投手(3年)は「エースとしての責任を果たす夏」と高校ラストサマーにすべてをぶつける覚悟だ。最速130キロ後半の力強い真っすぐに、課題だった変化球もひと冬越して、精度を上げてきた。1年秋には初めて背番号「1」を背負うも、昨夏は左手首を骨折し、大会直前にメンバーを外れた。「去年の思いもあるので。みんなの気持ちも背負って、自分がチームを引っ張っていきたい」。夏の悔しさは、夏で晴らす。
○…主将の和田未来内野手(3年)は“兄ちゃん超え”を目指す。兄真輝さん(21)は、3年前の21年夏に同校初となる4強入りを果たした。当時中学3年で、勇姿をスタンドで見届けた未来は「次は自分が」と決意して、開志学園への入学を決めた。「兄からも『お前は甲子園行けよ』と言われている。4強の壁を超えることももちろんだけど、本当に1戦1戦しっかり戦った先に甲子園がある。自分たちの野球を大事にしたい」と闘志を燃やした。
注目スラッガーの開志学園・斎藤(撮影・大島享也)