令和の貯まる財布の条件は“小さくて薄くてシンプルな財布” 赤や濃いピンクは避けたほうがいい理由とは
“小さくて薄くてシンプルな財布”ならムダ遣いを減らせるという(イメージ)
給料日のたびに「今月はできるだけ出費を抑えよう」と決意してATMに並んでも、月末にはいつの間にか財布がからっぽ……それもそのはず、大切なのは節制よりも「いくらおろすか」だからだ。お金を財布に入れる瞬間から始まっている「節約上手」への道を、専門家に解説してもらった。【前後編の後編。前編を読む】
【一覧】「お金が貯まる人」の財布に入っているもの
高額紙幣を崩すとムダ遣いしやすくなる
ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔さんは、「現金をまとめて財布に入れるのはおすすめしない」と話す。
「そもそも、キャッシュレス決済が普及しているいまは現金をたくさん持つ時代ではありません。必要以上に現金を持つのは財布のひもを緩くするだけ。
消費意欲は、いま手元にある金額によって“もう少し使ってもいい”“引き締めなくては”と変わる。行動経済学では『メンタルアカウンティング(心の会計)』の一種で、財布に現金を入れすぎないのは大切なマネーハックなのです」
山崎さんは、予算を決めて財布に入れておくのは極めて合理的としたうえで「万札を入れないのもいい習慣」だと話す。
「高額紙幣を崩すと、気が緩んでムダ遣いをしやすくなるケースが多いのです」
ファイナンシャルプランナーの飯村久美さんはさらに、「3つの財布にお金を分ける方法」を提案する。
「『食費用』『日用品費用』『自分のお小遣い用』と、できるだけ費目別に分けて、持ち歩く金額を少なくしましょう。お財布を分けるという観点からすると食費は現金、日用品やお小遣いは電子マネーと、決済方法を分けるのもわかりやすい」(飯村さん)
事実、家計調査によれば、1か月あたりの家具・家事用品費は約1万2000円となっており、5週に分ければ1週間につき2400円となる。これを電子マネーという“お財布”にチャージすることで、生活費を管理しやすいうえ、日常の買い物でポイ活にもなる。
電子マネーは楽天ペイのほか、PayPayやd払いなど、よりポイントの貯まりやすいものを選ぶのがコツだ。
「翌月払いのクレジットカードと違い、PayPayなどの電子決済ならいつどこで何にいくら使ったのかがその場でわかる。履歴も残るので、楽に家計管理ができます」(山口さん)
1週間かけて、財布に入れた9000円と、電子マネーにチャージした2400円を使い切るだけ。やみくもに口座からお金を引き出すことも、とりあえずカードで支払うこともなくなれば、むやみにお金が流出することがなくなり、みるみるうちに貯まっていくはずだ。
アプリを駆使すれば家計簿いらず
家計管理をきちんと見える化するには「家計簿アプリ」も不可欠。特に「Zaim」「マネーフォワードME」「マネーツリー」など、ポイント残高も資産として計上できるうえ「レシート撮影機能」と「支出のグラフ化」などの機能が充実しているアプリがおすすめだ。
「アプリを銀行口座やクレジットカード利用とひもづければ、給与の振り込みや光熱費の口座引き落としが自動で記帳されるほか、日々の買い物もレシートを撮影すれば日付や金額、費目が自動で入力されます。しかも1か月の収支をグラフ化して分析してくれる機能もあるので、予算を立てるのにも大いに役立ちます。
節約するなら、日常的に必ず使う食費と日用品費が毎月どれくらい必要か、適正な金額を見極めるのが先決です」(山崎さん・以下同)
もし予算オーバーしても、慌てる必要はない。
「日常の支出にアップダウンは必ずあるもの。お米やシャンプー、リンスなどを買った週の多少のオーバーは仕方なく、1か月で収支が黒字ならOKと考えて」
「パンパンの財布」ではお金は貯まらない
「貯まる財布」を本気で目指すなら、見直す必要があるのは現金だけではない。山崎さんは「令和の貯まる財布の条件はミニマルであること」だと語る。
「とにかく、小さくて薄くてシンプルな財布がベストです。余計な現金もカードも持たないようにすれば、物理的にムダ遣いを減らすことができる。金銭管理がうまくいかない人ほど、財布を小さいものに変えるのが1つの手」
そのためにまず整理すべきなのは「ポイントカード」。ポイントカードでパンパンに膨らんだ財布は、節約下手の証拠だ。
「めったに行かない店のポイントカードは、アプリ化してスマホに入れておけば、ポイントの取り損ねを防ぐことができます。クレジットカードもスマホに登録できるので、財布は極限まで小さくできるはず」
山口さんも「月に1回以上行く店でなければ、ポイントカードを財布に入れる必要はない」と話す。
「クレジットカードも使いすぎを防ぐため、原則1枚まで。複数枚持っていても財布に入れるのは普段から使う一軍クレカのみにして、2年に1回は解約してもいいカードがないか見直しましょう」(山口さん・以下同)
とにかく、財布の中に「使わないもの」を入れないのが、家計管理の第一歩。
「レシートは1日1回、少なくとも3日に1回は取り出して確認を。お守りなど肌身離さず持ち歩きたいものは財布に入れていてもかまいませんが、何の神様か覚えていないけれど、なんとなく何年も入れっぱなしというのは神様に失礼ですし、家計管理の邪魔になるだけなのでNGです」
よく「黄色い財布はお金が貯まる」というが、一方で赤や濃いピンクなどは避けた方が無難。
「赤は色彩心理学的に『活力』や『興奮』といった強いエネルギーをイメージする色で、赤い財布は見るたびにテンションが上がって買いすぎにつながる可能性がある。できるだけ落ち着いた色を選ぶのがおすすめです」(飯村さん)
給与もボーナスも年金も、あなたが懸命に働いてきた証。大切なお金を後悔なく使えるよう、上手な家計管理を身につけよう。
■前編:〈節約上手になる食費のやりくり「9000円を毎週財布に入れておく」でムダ遣いを減らせるカラクリ)を読む
※女性セブン2024年7月4日号