福永が“あれで終わり”の捕球ミス…中日の失策・自滅・貧打「何とか耐えろ」は投手にはあまりに酷な注文か
5回、送球を取り損ねる中日・福永
◇渋谷真コラム「龍の背に乗って」
◇28日 中日1―5DeNA(バンテリンドームナゴヤ)
いつか、どこかで見た失策だった。バントを処理した一塁・板山から三塁・福永へのノーバウンド送球。捕って、グラブを落とせば1死一塁となるはずだった…。記憶はすぐにたどれた。5月14日の阪神戦(豊橋)。佐藤輝が同じように送球を捕り損ね、中日は辛くも逆転勝利を拾った。
「あれで終わりよ。キャッチボールやんか」。試合後に阪神・岡田監督は辛辣(しんらつ)なコメントを発し、翌日に佐藤輝は2軍に落ちた。気の毒だとは思ったが、中日が勝てたことにホッとした。しかし、45日後にまさかこちらも「あれで終わり」の捕球ミスを見せられるとは…。
失策は少ない方がいいに決まっているが、数じたいが問題ではない。大切なのは非自責点を減らす。つまり失策がらみの失点をいかに減らすかだ。今季の中日の37失策はセ・リーグで3番目に多く、非自責点は2番目に多い30。失策数がほぼ変わらない広島(36)が19、中日より多いDeNA(45)も27だから、ミスが失点に直結し、投手もカバーできていないということになる。個人でいえば小笠原(6)、高橋宏(5)、橋本(5)の3人で非自責点の半分強を占めている。
この日の非自責点は2。ミスからチーム全体が打ちひしがれ、浮足だった。5回は先頭の宮崎の二塁打から、山本(バント失策)、関根(バント安打)、京田(右前適時打)で2点を奪われるまでたったの5球。打線の得点力を考えれば、ここで勝敗は決した。
「(タイムリーは)チャンスだったので初球から積極的にいこうと思いました。一、三塁だったのでバットに当てれば事は起こせるのかなと」
3安打2打点。楽天・阿部、日本ハム・郡司に続く恩返し弾も打った京田は「応援してくださった名古屋の皆さまの前で打てたのは良かった」と破顔した。失策、自滅、貧打。ミスが出ても何とか耐えろというのは、投手にはあまりに酷な注文なのかもしれない。