「脱Photoshop」無料・安価な画像編集アプリ6選
最近になって、Photoshopを含むAdobeの製品群に追加された基本利用条件の条項が、ユーザーの怒りを買っています。
この条件改訂によって、「Adobeのクラウドに自分が保存したコンテンツが、人工知能(AI)のトレーニングに使われるかもしれない」と聞いて、ほかの選択肢を探している人もいるでしょう。
こうした状況を受けて、Adobeは急遽、コンテンツ所有権(オーナーシップ)やAIトレーニングに用いるデータに関する自社の姿勢について、釈明に乗り出しています。
ということで、この記事では、Photoshopに代わる選択肢として、検討に値する優秀なサービスをいくつかご紹介します。
どれも無料か、少なくとも、Adobeの主力画像編集ソフトであるPhotoshopよりも安い費用で使えるものです。
GIMP
GIMPにはさまざまな機能が満載。
GIMPは、1995年にリリースされ、Photoshop代替サービスの筆頭に挙げられることも多いソフトです(名称は、「GNU Image Manipulation Program」の頭文字をとっています)。
完全無料のオープンソースで、さまざまにカスタマイズが可能な幅広い機能やプラグインも用意されています。PhotoshopでできることはGIMPでもできるケースが多く、操作の方法も似通っているものが大半です。
GIMPのユーザーインターフェースも、カラーリングからフローティング式のメニューパネルに至るまで、Photoshop風です。
そのため、Adobeのパッケージソフトの既存ユーザーなら、乗り換えのハードルは少し下がるでしょう。
GIMPは、Windows版とmacOS版があり、どちらも無料です。
Photopea
Photopeaはブラウザのタブ内で動作する。
近年、ウェブ版アプリの発展は著しく、デスクトップ版アプリにひけをとらない高い性能を持つものも出てきています。
そんな中、写真編集のカテゴリーでもトップレベルと呼べるアプリの1つがPhotopeaです。ブラシによる描画や図形、テキスト、リタッチなどの多彩なツールに加えて、レイヤーやレイヤーマスクをサポートし、Photoshop風のフィルターも豊富です。
PhotopeaがPhotoshopを手本にしているのは明らか。Adobeの製品と縁を切ろうとしている人も、慣れ親しんだ環境で落ち着いて使えるでしょう。
Photoshopのネイティブファイル形式であるPDSファイルや、クラウドストレージサービスのシームレスなサポートも用意されています。
さらに、月額5ドルのプレミアム版には、広告の非表示、アンドゥできる回数の増加、そしてAIによる画像生成といった機能が加わります。
- Photopeaはウェブ上で提供されているサービスで、広告ありの無料版と、月額5ドルの有料版があります。
Paint.net
Paint.netは定評のあるWindows用画像エディターだ。
2004年に登場したPaint.netは、GIMPと同様の、息の長いソフトです。当初は、コンピューター科学のプロジェクトとして登場。
それ以来、無料で使えて信頼性があり、多機能のWindowsユーザー向け画像編集ソフトとして定評を得てきました。
Photoshopで用意されている機能の多くは、Paint.netでも使えます。たとえば、フィルターやエフェクト、レイヤー操作、そして、描画や編集についても、ユーザーが必要としそうな主要ツールは全て揃っています。
多くのことができるPaint.netですが、直感的に使えるよう工夫されていて、画像編集ビギナーにも優しいソフトです。カラーからズームレベル、オブジェクトの位置調整まで、あらゆるオプションが、必要となった時にすぐに目に止まる場所に表示されます。
また、自分のニーズに合わせてインターフェースをカスタマイズしたい人にも、多くの選択肢が用意されています。
- Paint.netは無料で、Windows版のみの提供です。
Pixlr Editor
Pixlr Editorはウェブにアクセスできればどこでも利用できる。
ウェブベースの画像編集パッケージとしてもうひとつおすすめしたいのが、Pixlr Editorです。
ブラウザのタブできびきびと動作し、レイヤー管理や高度な要素選択、不要な要素の除去、リタッチといった、Photoshopのメイン機能を備えています。
また、輝きを増す、色の彩度を下げる、影をつける、モザイク調にするなど、さまざまなフィルターも揃っています。非常に高度な画像編集のワザが使えるオンラインアプリなのです。
さらに、月額0.99ドルからのプレミアムプランも用意されています。このサブスクリプションを契約すると、広告が非表示になり、AI画像生成などの機能が使えます。よりシンプルなウェブアプリPixlr Expressもあって、こちらの方が自分のニーズに合っているという人もいるでしょう。
- Pixlr Editorは、無料版と月額0.99ドルからの有料版があり、ウェブ上で提供されています。
Krita
Kritaは画像編集だけでなくデジタルアートにも使える。
Kritaは、Adobe製品で言うと、PhotoshopよりむしろIllustratorに近い系統のソフトですが、秀逸な機能が盛りだくさんなので、Photoshopの代替ソフトとして紹介することにしました。
デジタルメディアでのお絵描きだけでなく、画像編集にも使える機能がたくさんあります。いろいろと試してみたくなる要素選択や塗りつぶし、画像修正ツールが数多くあり、エレガントで直感的なインターフェースで提供されています。
また、動作速度が非常に高速なのも、Kritaの優れたところです。パネルを開く時、あるいはツールを切り替える時に待たされて、作業の効率が落ちることはないでしょう。
- Kritaは無料で、Windows版とmacOS版があります。
Affinity Photo
Affinity Photoは有料だが買い切り型のアプリだ。
最後に、有料版しかないアプリの選択肢も1つ紹介しておきましょう。それがAffinity Photoです。
この記事の執筆時点では、価格は34.99ドルです(日本語版は、6月17日時点で半額キャンペーンを行っており5200円)。重要なのは、これが買い切り型のアプリで、サブスクリプション契約は不要だということです。
残念ながら、無料のお試し版は用意されていないのですが、この価格で驚くほど多くの機能が手に入ります。
通常の画像編集ソフトに求められる機能に加えて、フルスタックレイヤーのサポート、カスタムブラシの作成機能(ビルトインのブラシも非常に充実しています)、RAWデータの多岐にわたるハンドリング機能なども備わっています。
それを考えると、Affinity Photoは、Adobeエコシステムからの脱出を図りたいアマチュア上級者やプロにぴったりの選択肢と言えます。
- Affinity Photoは、Windows版とmacOS版が34.99ドルで提供されています(日本語版は半額キャンペーン中で5200円)。
Source: Affinity Photo, Krita, Pixlr Editor, Paint.net, GIMP