「もしプーチンがウクライナを奪ったら…」バイデン氏が支援資金を含む緊急予算案可決を議会に要求
【ワシントン=吉田通夫】バイデン米大統領は6日、ホワイトハウスで演説し、ウクライナへの支援資金が年内にも枯渇するため、12月下旬までに支援を盛り込んだ緊急の予算案を可決するよう議会に求めた。反対する共和党に配慮し、同党が求めるメキシコ国境からの移民流入の規制を強める警備対策で「かなり妥協するつもりだ」と述べた。
バイデン米大統領(AP)
バイデン氏は10月にウクライナ支援や国境警備対策などを組み合わせた約1000億ドル(約14兆7000億円)の予算案を提示したが、共和党の反対で審議は進んでいない。米行政管理予算局は今月4日に、ウクライナへの支援資金は年内に枯渇すると表明している。
バイデン氏は「もしプーチン(ロシア大統領)がウクライナを奪ったら、そこでは止まらない」と強調し、米国の安全保障上からもウクライナ支援が必要だと訴えた。国境対策を巡る共和党の批判に配慮して「国境に必要な資金を提供するための政策変更なら、私はいとわない」とも表明。共和党が交渉に応じないとして、不満もにじませた。
演説の数時間後、議会上院は同予算案の審議開始に向けた手続き上の採決をしたものの、共和党の反対で可決に必要な60票は集まらずに否決。審議は依然として暗礁に乗り上げている。
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