宇宙ごみ「観察衛星」打ち上げ、東京の新興企業が成功…デブリ除去のビジネス化目指す
ロケットの残骸(上)に接近して観察する人工衛星のイメージ(アストロスケール提供)
宇宙新興企業「アストロスケール」(東京)は19日、宇宙空間を漂う「スペースデブリ(宇宙ごみ)」に接近して観察する人工衛星「ADRAS(アドラス)―J」の打ち上げに成功したと発表した。デブリ除去の宇宙ビジネス化を目指す同社は、観察成果を技術実証に生かす。
同社によると、衛星は18日午後11時52分、米宇宙企業のロケットでニュージーランドから打ち上げられた。衛星は高度600キロ・メートルの宇宙空間で分離され、予定の軌道に投入された。
衛星は高さ約1・2メートル、横幅約80センチ。複数の小型推進器で、地球周辺を高速で周回するデブリに最短数メートルまで接近する。目標のデブリは、2009年に打ち上げられた日本の「H2A」ロケットの残骸で、搭載したカメラやレーザー測量機で損傷状態などを確かめる。
衛星の開発は、宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))が企業と連携し、除去技術を確立する実証の一環。アストロスケールは将来、衛星のロボットアームでデブリを捕獲して除去するビジネスを目指しており、今回の観察を技術開発に生かす。
同社の新栄次朗プロジェクトマネージャーは「デブリへの接近と調査を行う世界初のミッションになる」としている。