ロシア極東大の函館校、今年度の入学は3人だけ…新規募集停止で在校生は14人
来年度以降の新入学生募集を停止したロシア極東大函館校(北海道函館市)。ロシアによるウクライナ侵略を契機に、ロシアへの感情が悪化したこともあり、入学者数が急減していた。今年度の入学者は3人。市民からは惜しむ声が聞かれ、運営を支援してきた函館市の担当者も「日本とロシアの関係は昔から深い。市民に親しまれてきた側面もあり、残念だ」と話している。
募集を停止するロシア極東大函館校。元町・八幡坂の中腹にある
函館とロシアの交流は1793年にロシアの使節が箱館(当時)に来航したのが始まりだ。1858年には日露修好通商条約により日本で最初にロシア領事館が置かれた。函館在留外国人の半分近くをロシア人が占めていた時代もある。
日露国際交流の拠点だった同校は今年、30周年を迎えた。今も同校と同じ建物内に在札幌ロシア総領事館函館事務所があり、日本初のロシア正教会聖堂である函館ハリストス正教会、旧ロシア領事館なども近い。
同校はロシア・ウラジオストク市の極東国立総合大学(現・極東連邦総合大学)の分校として1994年に開校。その後、文部科学省から「外国大学の日本校」として指定を受けた。4年制のロシア地域学科と2年制のロシア語科があり、現在の在校生数は14人。同校は「在校生全員が卒業するまで、教育の継続に万全を期す」としている。
2008年には同校内に開設した「ロシアセンター」の開設式典に、ロシアのラブロフ外相が出席。開校当時から市民向けのロシア語講座を開くなど、市民との交流を進めてきた。毎年2月に同校で開かれる「はこだてロシアまつり」には大勢の市民が訪れてロシア料理などを楽しみ、祝祭行事「マースレニッツァ」は、函館に春の到来を告げる風物詩になっていた。
同校の運営を支援してきた市国際・地域交流課の担当者は「厳しい状況は聞いていた。学校法人としての経営判断なので(募集停止は)やむを得ない。函館とロシアの歴史的なつながりを思うと残念な思いだ」と話している。