【全世界株式が史上最高値を更新】人気の「オルカン」が採用するMSCI指数は先進国、新興国50カ国の株式市場で構成、組入銘柄の入れ替えが株価を左右
投資家に人気の「オルカン」は全世界の株式に投資する投資信託だ(写真:イメージマート)
MSCIオール・カントリー・ワールド指数が史上最高値を更新した。全世界株式型の投資信託が投資家からの人気を集めているが、その指数はどのように決まっているのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第93回は、「MSCIオール・カントリー・ワールド指数」について。
個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さん
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5月14日、MSCIオール・カントリー・ワールド指数が史上最高値を更新しました(※その後、さらに高値を更新)。MSCIオール・カントリー・ワールド指数といえば、新NISAのつみたて投資枠で、ダントツ人気1位の投信「オルカン」こと、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」が採用している指数です。オール・カントリーというのは、世界中の株式のことだということはなんとなく分かりますが、MSCIというのはいったいなんでしょう?
MSCI指数とは?
MSCIは、「モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社」の英語の頭文字をとったもので、同社が算出・公表する株価指数のことを「MSCI指数」と呼びます。オルカンが基準としているMSCIオール・カントリー・ワールド指数は、先進国と新興国の株式市場を含む、約50カ国の株式市場をカバーしています。構成比率は、アメリカがもっとも大きく60%、2位は日本で約5%、そのほかドイツ、イギリス、中国、インド、ブラジルなど多くの国が含まれています。
銘柄数は、約3000銘柄で大企業から中小企業まで幅広くカバーされています。MSCIオール・カントリー・ワールド指数には、日本を除くものもあり、オルカンにも日本を除くものが用意されています。日本株をすでに持っている人は、日本を除くほうを選ぶのがよいでしょう。
MSCIは、オール・カントリー・ワールド以外にも、先進国や新興国などの市場別や、国・地域別・産業分類別などさまざまな株価指数を提供しています。たとえば日本株なら、MSCI JAPANという指数があり、日本の大型株・中型株をカバーしています。
組み入れ銘柄の入れ替えに注意
MSCIオール・カントリー・ワールド指数が史上最高値を更新した日に、MSCIグローバルスタンダード指数の構成銘柄の定期見直しが発表されました。日本株では、アシックス(7936)が新規採用され、シャープ(6753)、朝日インテック(7747)、アズビル(6845)、GLP投資法人(3281)、ヒロセ電機(6806)、飯田グループホールディングス(3291)、日本都市ファンド投資法人(8953)、KDX不動産投資法人(8972)、ミスミグループ本社(9962)、小田急電鉄(9007)、清水建設(1803)、スクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)、東武鉄道(9001)、ユー・エス・エス(4732)、ヤマハ(7951)の15銘柄が除外されます。
ちなみに米国株では、ソフトウエア開発のマイクロストラテジーなど4銘柄が新規採用され、15銘柄が除外されます。銘柄の入れ替えは、5月31日の取引終了時点に実施されます。
組み入れ銘柄の見直しは、2月、5月、8月、11月の年4回行われます。特に5月と11月は大規模な見直しが行われます。世界の多くの機関投資家がMSCI指数をベンチマークとしているため、構成銘柄の入れ替えは、株価にも影響を与えます。指数に組み入れられていれば、個別の業績とは関係なく自動的に買い付けられますが、除外されると売られることになります。除外された銘柄は、その後、軟調な展開が続くこともあるため注意が必要です。
今回のまとめ
・MSCI指数は、「モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社」が算出・公表する株価指数のこと
・組み入れ銘柄の見直しは、年に4回
・組入銘柄への新規採用、除外は株価に影響がある
【プロフィール】
藤川里絵(ふじかわ・りえ)/個人投資家・株式投資講師・CFPファイナンシャルプランナー。2010年より株式投資をはじめ、主に四季報を使った投資方法で、5年で自己資金を10倍に増やす。普通の人が趣味として楽しめる株式投資を広めるため活動し、DMMオンラインサロンを主宰。本稿の関連動画がYouTubeにて公開中。