うまちゃんの財ザク! 米国は景気減速が鮮明、いずれ利下げに向かい…為替が落ち着く可能性 時間稼ぎとして政府・日銀の為替介入はあり得る
経済アナリストの馬渕磨理子さん
米国の4月の就業者の伸びが市場予想を大きく下回りました。また、米国供給管理協会(ISM)発表の4月のサービス業購買担当者景況指数(PMI)も同じく予想を下回りました。米国は景気減速が鮮明になったので、いずれ利下げに向かうという見方が高まっています。なので、為替も落ち着く可能性があります。
それまでの時間稼ぎとして、日本政府・日銀の為替介入は手段としてはあり得ます。IMF(国際通貨基金)のルールには、為替介入は半年間で3回、1回の介入は3営業日とあります。4月末に為替介入があったとされますが、ルール上、10月末までにあと2回できることになります。どちらにしろ、利上げをするという政策転換は慎重にしないといけないと思います。
トヨタ自動車の2024年3月期の決算は、売上高が前年より約21%増の45兆円、営業利益も約2倍の5兆3500億円でした。いずれも日本企業が1年間で稼いだ金額として最大。国内外の販売の好調と円安が追い風でした。
25年3月期は、売上高が24年3月期比2%増の46兆円、営業利益は約20%少ない4兆3000億円、純利益は約28%少ない3兆5700億円を見込んでいます。これは上振れると思います。想定為替レートを1ドル=145円に置いているからです。
トヨタは下請け企業などの底上げも課題なので、業績の見通しも保守的傾向になります。さらにトヨタは1兆円の自社株買いも発表。株主還元姿勢は他社に大きな影響を与えます。
海運、配当増額など株主還元に積極的
個別では、先週の業種別でトップの上昇率だった海運に注目。こちらも株主還元に積極的で、日本郵船、川崎汽船はそれぞれ1000億円の自社株買いに加え、配当金も増額してます。日本郵船は配当を140円から160円に修正しています。
あと、政府の防衛予算増額が重工大手に追い風です。三菱重工業、川崎重工業、IHIの大手3社の25年3月期の業績見通しは、防衛を含む事業の売上高が合計で前年比約42%増の2兆円。川崎重工の株価は今年になって約8割上昇。IHIも前期赤字から600億円の黒字に浮上する見通し。この分野も引き続き大きなトレンドです。
■おまけのひと言
「インフレはカネの価値が低くなるので、早く使おうとしたり、ドルに替えようとします。銀行に行く回数も増え、靴も傷みます。これを経済学の入門書『マンキュー経済学』では靴底コストと言います。頻繁にオンラインで確認することも、この現代版といえますね」
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■馬渕磨理子(まぶち・まりこ) 経済アナリスト。日本金融経済研究所代表理事。イー・ギャランティ社外取締役。愛称・うまちゃん。1984年生まれ。滋賀県出身。同志社大学法学部卒、京都大学公共政策大学院修士課程修了。大学時代はミス同志社。『LiveNewsα』(フジテレビ系)など出演番組多数。新刊『収入10倍アップ超速仕事術』(PHP研究所)が話題。