出羽三山(でわさんざん)信仰に迫る 袖ケ浦市郷土博物館で企画展 講が寄贈の資料など120点 来月15日まで
行屋にあった神殿(中央)などが並ぶ会場=袖ケ浦市郷土博物館で
上総地域に根付いた山形県の出羽三山(でわさんざん)(月山・羽黒山・湯殿山)への信仰に光を当てる企画展「出羽三山と袖ケ浦の山岳信仰」が、千葉県の袖ケ浦市郷土博物館(同市下新田)で開かれている。入館無料。7月15日まで。(山本哲正)
千葉県は全国的に見ても出羽三山への信仰が比較的厚く、袖ケ浦市内の各地には八日講(ようかこう)と呼ばれる参詣講が組織された。「一生に一度はサンヤマに行くもの」とされ、村の代表として参詣した人は行人(ぎょうにん)として一目置かれ、地域の行事などで中心的な役割を果たした。今も市内各地で信仰や講が残っているという。
同博物館学芸員の桐村久美子さんによると、千葉県は、熊野神社が全国で2番目に多く、中世までに熊野信仰が浸透した。江戸期に真言宗系が有力となると、袖ケ浦、市原、君津周辺では、空海の開基とされ大日如来をまつる湯殿山を中心とした三山信仰が、瞬く間に広まったとみられる。
今回の企画展は、解散した三つの講から寄贈された資料を中心に約120点を展示。最初に三山に参拝した時に宿坊で授かる行衣や、腰梵天(ぼんてん)のほか、仏像や古文書、行人がおこもりなどをする行屋(ぎょうや)にあった神殿などがある。
行衣や、腰梵天(下部中央)など=袖ケ浦市郷土博物館で
頭部は平安時代に作られた木造阿弥陀如来座像=袖ケ浦市で
下久保田八日講の行屋(袖ケ浦市久保田)で大日如来と並んで大切にされていた木造阿弥陀(あみだ)如来座像も展示。頭部が平安時代に作られたものという。
7月13日午前11時から展示解説会が行われる。問い合わせは郷土博物館=電0438(63)0811=へ。
桐村さんは「地域に根付いた伝統、文化の一つ。地域住民が地元の魅力を再発見して、講に参加する人が増えるとうれしい」と話している。
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