バイデン氏、大統領選からの撤退を否定 討論会が「低調」に終わり、一部に「バイデン降ろし」の動きか
【ワシントン=鈴木龍司】11月の米大統領選で再選を目指す民主党のバイデン大統領(81)は共和党のトランプ前大統領(78)との第1回テレビ討論会から一夜明けた28日、南部ノースカロライナ州の集会で演説した。討論会のパフォーマンスが低調だったと認めつつも「11月にこの州で勝利する」と撤退を否定した。
◆「若くないことは承知している」
一方、有力紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は撤退を促す社説を掲載。米メディアによると、陣営の一部に候補者差し替え論が浮上しているとされ、バイデン氏や陣営は火消しに躍起になっている。
バイデン大統領=4月撮影
バイデン氏は演説で「若くないことは承知している。ディベートも以前よりうまくできない」と語った。その上で「私は物事を成し遂げる方法を知っている。打ちのめされても立ち上がることができる」と再選に意欲を示した。
バイデン氏はテレビ討論会で言葉に詰まり、重要なフレーズを言い間違えるなど、高齢不安がさらに高まった。討論会直後は報道陣に「うまくやった。うそつきとの議論は難しい」と強気の姿勢を崩さなかったが、演説では加齢による衰えを隠さず、経験と実績をアピールした。
◆「国のためにバイデン氏はレースから去るべきだ」
米メディアによると、陣営関係者からはテレビ討論会の結果に対し「今の年齢でも職務をこなせると安心させなければならなかったが、失敗した」などと不安の声が噴出。ニューヨーク・タイムズが「国のためにバイデン氏はレースから去るべきだ」との記事を配信するなど、メディアにも厳しい論調が相次いだ。
陣営は「バイデン降ろし」の封じ込めに奔走している。大統領候補を正式指名する民主党大会が8月に迫り、候補者差し替えは困難との見方が強い。ハリス副大統領は「スロースタートを切ったが、大統領の実績で評価されるべきだ」と理解を求め、オバマ元大統領は「悪いディベートの夜はある」と擁護する声明を発表した。
攻勢を強めるトランプ氏は28日、南部バージニア州で演説し、討論会の勝利を宣言し「問題は年齢ではなく、バイデン氏が無能であることだ」と主張した。
テレビ討論会を主催したCNNの世論調査では、論戦は「トランプ氏勝利」が67%で「バイデン氏勝利」の33%を大幅に上回った。ただ、討論会の結果が投票先に影響するかを尋ねた質問では「気持ちが変わった」は5%、「再検討中」は14%にとどまった。「影響ない」が81%に上り、討論会前に拮抗(きっこう)していた支持率の変化に結び付くかは未知数だ。
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