【日本市況】TOPIX最高値接近、日銀利上げ観測で-円は安値更新
(ブルームバーグ): 2日の日本市場は株式相場が上昇、東証株価指数(TOPIX)が過去最高値に接近して日経平均株価は4万円台を回復した。日本銀行の早期利上げ観測を受けて金融株が値上がり、日本株高によるリスク選好の流れも受けて円は対ドルで38年ぶりの安値を更新した。
Bank of Japan Governor Kazuo Ueda News Conference
バブル崩壊後の戻り高値を1日更新したTOPIXは上昇が続き、1989年12月の過去最高値に迫っている。内外金利の上昇を受けて収益改善期待から銀行や保険といった企業が値上がりして相場を押し上げている。為替相場は一時1ドル=161円74銭と安値を更新した。日本の長期金利も高い。
月末に金融政策決定会合を控えて日銀政策への観測や思惑が相場を動かしている。企業の景況感改善や物価上昇で市場では利上げ観測が支持されている。米連邦公開市場委員会(FOMC)も31日に開かれて8月1日未明に結果が判明、日米金融政策決定が重なる。米大統領選や欧州中心の政治リスクも重なり、月末に向けて相場はボラティリティー(変動率)が高まる可能性がある。
野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジストは2日付リポートで、日銀が目指す「賃金と物価の好循環」の持続が期待できる環境が整いつつあると1日の短観を分析した。その上で日本の脱デフレ機運の高まりが示唆されており、年内の追加利上げをはじめとした金融政策の正常化を後押しする内容だったといえそうだと指摘した。
東証株価指数(TOPIX)は1.1%高の2856.54-午後2時1分89年12月の過去最高値(日中2886.50、終値2884.80)に接近日経平均株価は1.1%高の4万0051円30銭 |
円相場は対ドルで前日比0.1%安の161円68銭。一時161円74銭と86年12月以来の安値を更新 |
長期国債先物9月物は一時前日比28銭安の142円37銭に下落、入札結果発表後に142円58銭まで戻す新発10年債利回りは1ベーシスポイント(bp)高い1.07%、一時1.08% |
株式
東京株式相場は3営業日続伸してTOPIXは過去最高値に接近、日経平均株価は節目の4万円を約3カ月ぶりに超えた。米長期金利上昇を受けて日本でも金利が上がっており、銀行や保険といった金融株が高い。商社などバリュー(割安)銘柄に買いが集まっている。
個別銘柄では、野村証券が目標株価を引き上げたみずほフィナンシャルグループが8日連続で上昇。一方で、サイバー攻撃を受けたKADOKAWAはさらなる犯行声明を確認したと発表し、売りが優勢だ。
三井住友DSアセットマネジメントの武内荘平シニアファンドマネージャーは、米大統領選のテレビ討論会を受けてトランプ氏の優勢が明確になってきていることも米金利上昇の背景にあると指摘。国内でも10年金利が1.1%に向けて上昇しており、金融株の追い風になっていることから、他国市場と比べて出遅れ感がある日本株に見直し買いが入っているだろうと述べた。
為替
東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=161円74銭と約38年ぶりの安値を更新した。前日の米国市場で先週の大統領選討論会を受けた長期金利の上昇が続き、低金利の円を売ってドルを買う動きが強まった。東京市場では金融機関が顧客と外貨を取引する際の基準となる公示仲値の設定にかけて円売りが優勢となり、日本株高を受けて下げ幅を拡大した。
鈴木俊一財務相は2日の閣議後会見で足元の円安進行について「為替相場はさまざまな要因が絡み合って市場で決定される」と述べた上で「市場の動きを注意深く見守っていく」と語った。
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは、米大統領選でトランプ前大統領が勝利するリスクの織り込みとフランス政治の不透明感の低下、原油高を背景に欧米長期金利が上昇し、低金利の円は売られやすい環境にあると指摘。「介入を警戒しつつも、金利差を背景としたキャリー取引で円の安値を試す動きが出ている」と述べた。
債券
2日の債券相場は下落。円安進行を受けた日銀の政策変更観測の高まりから売りが優勢だったが、10年国債入札を無難に終え、先物は下げ幅を縮めた。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは10年債入札について「一部で心配されていたが、まずまず良かったのでひと安心だ」と述べた。同時に前週も入札結果が良くても相場が上昇しなかった経緯があり、30年債入札も控えて米金利上昇や日銀がタカ派的な政策になることへの警戒感から「地合いの改善につながりにくい」との見方を示した。
入札結果によると、最低落札価格は100円6銭と、市場予想100円4銭を上回り、小さいと好調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は2銭と、前回と同じだった。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.23倍と、前回の3.66倍から低下した。
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