周辺住民の被害422人 クボタショック19年 尼崎の集会で報告
アスベスト被害を風化させないという誓いを込めて、青くライトアップされた尼崎城=兵庫県尼崎市北城内
アスベスト被害を忘れない――。29日、兵庫県尼崎市で「アスベスト被害の救済と根絶をめざす尼崎集会」が開かれた。患者や遺族、支援者ら約190人が参加。「クボタショック」から19年を経た被害の現状などが報告された。
アスベスト被害を風化させないという誓いを込めて、青くライトアップされた尼崎城=兵庫県尼崎市北城内
19年前の2005年6月29日、クボタは旧神崎工場の従業員や周辺住民ら計84人のアスベストによる健康被害を明らかにした。集会は、毎年この時期に支援団体などが開いている。
当初、クボタが発表した周辺住民の健康被害は5人だったが、この日の報告では、今年6月までに中皮腫などを発症してクボタへ救済金を申請した人は422人にのぼった。支援団体は「さらに被害者がいることは間違いない。引き続きクボタとじっくり話す必要がある」と訴えた。
かつて尼崎市の杭瀬に住んでいて、2020年に中皮腫と確定した加古川市の男性は「1日でも長く生きたいと思っている。クボタ上層部や国には、二度と同じことが起きないようにしてもらいたい」と強調した。
周辺住民として健康被害を受けた夫の義一さんを59歳で亡くした早川春美さん(73)は、「亡くなって14年目を迎えたが、仲間の温かい言葉に支えられ、感謝しかない」と語った。
この日の集会にあわせて、28日から30日の日没後に尼崎城が青くライトアップされている。尼崎市によると、アスベストは粉じんを吸い込んでから健康被害を引き起こすまでに長い年月がかかり、「静かな時限爆弾」と言われることから、長い静寂をブルーのライトで表したという。(谷辺晃子)