ロシア拘束のWSJ記者、トランプ氏が解放実現を言明
ドナルド・トランプ前米大統領は27日、ロシアで拘束されているウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のエバン・ゲルシコビッチ記者について、自身が大統領に再選した場合は解放を実現すると述べた。同記者はスパイ行為に関わったとする虚偽の容疑で3月からロシアで拘束されている。
トランプ氏は大統領選の討論会で、「わたしが就任した直後、就任する前に、彼を速やかに解放させる」と発言。「選挙に勝利した直後に、あの記者を解放させる」と続けた。
トランプ氏はゲルシコビッチ記者の名前は出さなかったものの、「いいやつだ」とも発言。またロシアのウラジーミル・プーチン大統領が見返りに「数十億ドル」を要求しているとも述べたが、証拠は示さなかった。
トランプ氏はさらに、ゲルシコビッチ記者が拘束されている責任はジョー・バイデン大統領にあると言及し、バイデン氏について「プーチン氏はこの男を笑っている」と述べた。
ゲルシコビッチ記者(32)は昨年3月、モスクワの東約1400キロに位置するエカテリンブルクで取材中に、ロシア連邦保安局(FSB)によって拘束された。同記者はロシア当局が発行する記者証を取得していた。ゲルシコビッチ記者、WSJ、そして米政府は容疑を断固として否定している。
ゲルシコビッチ記者は裁判の初日となった26日に出廷したが、審理は非公開で実施される。ゲルシコビッチ記者の弁護団も、裁判について公の場で発言することが制限されている。同記者は有罪となった場合、10~20年の刑期を言い渡される可能性がある。
ロシアのセルゲイ・リャプコフ外務次官は今週に入り、これまでに伝えた取引の可能性に関するシグナルを「真剣に検討」するよう「繰り返し米国に強調してきた」と述べていた。
トランプ氏は国外で拘束されている一部の米国人について、過去にも個人的な関心を示している。大統領だった2019年7月には暴行容疑で逮捕された米ラッパーのエイサップ・ロッキーの釈放に向け、ロバート・オブライエン人質問題担当特使をスウェーデンに派遣したケースもある。