【柔道】阿部詩「普通の女の子になりたい」ノーシードからパリ五輪で2連覇を達成後…その真意は
柔道女子の日本代表が26日、東京・味の素NTCで強化合宿を報道公開し、開幕まで1カ月となったパリ五輪(オリンピック)で2連覇を目指す52キロ級の阿部詩(23)や78キロ超級の素根輝(23=ともにパーク24)らが参加した。
来月14日に24歳となって2度目の大舞台を迎える阿部は、拠点の日体大や仙台大で最終調整して渡仏する予定。「だいぶ順調。技術面、心、体が3つ、そろってきている」と、練習でも切れ味の鋭い投げ技を連発するなど、盤石の仕上がりぶりを見せた。
23日までの算定期間が終了し、国際柔道連盟(IJF)の五輪ランキングが確定。昨年10月の国際大会を負傷で回避した影響もあって、阿部は9位となり、パリ五輪で上位8人に与えられるシード権を得られなかった。
それでも「どこに入ってもいいのかな、と全然、思ってて。結局は勝たないと金メダルはないので」と自然体を強調。「シードに入るより、コンディション面を優先して。(ランクを上げるため)試合に出ることだけがプラスなのかと言われれば、そうではないと思うので」と自分を信じ、貫いた。
20歳で迎えた21年東京五輪を初出場で制した後、両肩の手術も経て、無敗のままパリまで到達した最強女王。3月の国際大会では、決勝を9秒で終わらせる無双ぶりだった。確実視されるパリでのV2後にも「ご自身へのご褒美は?」と問われる形で言及した。
「普通の女の子になりたい」
そうキャンディーズ風に言って、口に手を当てて照れた阿部は「派手派手なネイルもしたいけど、柔道からは離れません!」と笑った上で「柔道一筋、その道だけを歩んできた阿部詩から、ガラッと印象を変えた私になりたいなって。それを追い求めるのも面白いんじゃないかなと。人として勉強して視野を広げたり、幅を広げたりしたい」。花の都で兄一二三(男子66キロ級)との、前人未到の「兄妹同日2連覇」を遂げてなお、止めるつもりのない進化の通過点にする。【木下淳】
女子柔道パリ五輪代表合宿で、髪を結び直す53キロ級代表の阿部詩(撮影・狩俣裕三)