AIに予算30万円以下でゲーミングPCを組んでもらって分かったこと
Microsoft Copilot(旧Bing チャット)の画面。Web版なら、Edgeで簡単に利用できる
2023年も残り1カ月を切った。既に支給されている人も多いかと思うが、会社員にはボーナスのシーズンがやってきた。それに伴って、オンラインや店頭で相次いでセールが行われている。
つい財布のひもが緩くなりがちな季節だが、せっかく高価なPCを買うなら失敗のない買い物をしたい。一方で、PCに詳しい人にアドバイスを聞いたり、店頭で相談をしたりするのもちょっと面倒くさい。そんなときに役立つのが、各所で話題を集めている生成AIだ。
手元にPCやスマホさえあれば、時間も場所も問わずいつでも回答してくれるエージェントに、下記の質問を投げかけて「税込み30万円以下で買える、今お勧めのゲーミングPC」を聞いてみた。
もちろん、プロンプト(呪文)や問い合わせるタイミングなどによって回答は一定ではないので参考までに見てほしい。
・あなたはPCショップ専門店の店員です。
・税込みの予算30万円以内で最新のゲーミングPCを作ってください。
・利用したパーツの型番(マザーボードを含む)もリスト化してください。
・お勧めのポイントも教えてください。
●4つの生成AIサービスを利用してゲーミングPCのパーツ選定を指南
今回利用したのは、Microsoft Copilot(Web版)/Copilot in Windows(旧Windows Copilot)/Perplexity/Google Bard/ChatGPT 3.5の5つで、いずれも無料で利用できる。Microsoft CopilotやCopilot in Windowsは、ついに一般提供が始まったばかりで、Google Bardは試験運用中だ。
Perplexityこと「Perplexit.AI」(パープレキシティAI)は、Aravind SrinivasとDenis Yaratsによって共同開発されたも検索エンジンとなる。ChatGPTは、先日大騒動があったOpenAI提供の対話型AIで2023年には台風の目となった。
まずは、それぞれの回答をご覧いただこう。
●Microsoft Copilot(旧Bing チャット)
お勧めポイント この構成で税込みで約29万円になります。この構成は、最新のゲームを快適にプレイするための十分な性能を持っています。また、マザーボードの「ASUS TUF GAMING B550M-PLUS」は、将来的なアップグレードにも対応しています。以上、ご参考になれば幸いです。
次は、Copilot in Windowsのお勧め例だ。
●Copilot in Windows
お勧めポイント このパーツ構成のおすすめポイントは以下の通りです。
・CPUは第12世代のCore i7で、高いゲーミング性能とマルチタスク性能を発揮します。また、オーバークロックにも対応しています。
・CPUクーラーは水冷式で、静音性と冷却性能に優れています。RGB LEDも搭載されており、カラフルに光ります。
・マザーボードはZ690チップセットで、DDR5メモリやPCIe 5.0などの最新規格に対応しています。Wi-Fi 6Eや2.5G LANなどの高速ネットワークも備えています。
・メモリはDDR5-5200の高速メモリで、32GBの大容量です。RGB LEDも搭載されており、カラフルに光ります。
・グラフィックボードはRTX 4060 Tiで、RTX 3070に近い性能を持ちます。レイトレーシングやDLSSなどの最新技術にも対応しています。
・SSDはPCIe 4.0対応の高速SSDで、1TBの大容量です。耐久性も高く、長期間の使用にも安心です。
・電源ユニットは80+ Gold認証の高効率電源で、850Wの大容量です。10年の長期保証も付いています。
・PCケースは前面メッシュの高気流ケースで、冷却性能に優れています。140mmファンが3つ付属しており、静音性も高いです。
・OSはWindows 11で、最新の機能やセキュリティを享受できます。パッケージ版なら、PCを買い替えても再利用できます。
以上が、税込みの予算30万円以内で最新のゲーミングPCを作るためのおすすめパーツ構成とそのポイントです。ご参考になれば幸いです。
続いては、Perplexityのお勧め例だ。
●Perplexity
お勧めポイント これらのパーツを使用することで、30万円以内で高性能なゲーミングPCを構築することができます。お勧めのポイントは、CPUとGPUのバランスを重視し、中位の性能を持つパーツを選択することでコストを抑えつつ性能を確保したこと、メモリは16GB程度で、ストレージはSSDとHDDの組み合わせで容量と速度を両立させます。
電源容量は十分な余裕を持たせつつ、効率の良い80+ Bronze認証以上のものを選びます。マザーボードの型番については、実際の構成に合わせて適切なものを選択することをお勧めします。
CPUとGPUの性能を重視し、十分なメモリと高速のストレージを搭載することです。また、電源容量にも注意し、十分な余裕を持たせることが重要です。
次はBardのお勧め例だ。
●Google Bard(試験運用中)
お勧めポイント CPUは最新のAMD Ryzen 9 7900Xを採用しました。8コア16スレッドで、最新のゲームも快適にプレイできます。CPUクーラーはNZXT Kraken Z73を採用しました。水冷式で冷却性能が高く、静音性にも優れています。マザーボードはASUS ROG Strix B660-F Gaming WiFiを採用しました。ゲーミング用途に適した機能を備えており、拡張性にも優れています。
メモリはG.Skill Trident Z5 RGB DDR5-6000 32GB(16GB×2)を採用しました。DDR5メモリで、高速なデータ転送速度を実現します。ビデオカードはNVIDIA GeForce RTX 3080 Tiを採用しました。現行最高峰のビデオカードで、4K解像度でのゲームプレイも余裕でこなします。SSDはWD Black SN850 NVMe PCIe Gen4 SSD 1TBを採用しました。PCIe Gen4接続の高速SSDで、ゲームのロード時間の短縮に効果的です。
HDDはSeagate Barracuda HDD 2TBを採用しました。大容量のHDDで、ゲームや動画などのデータ保存に便利です。電源ユニットはAntec HCG850 Platinum 850Wを採用しました。850Wの大容量で、高性能なパーツ構成でも余裕をもって運用できます。PCケースはNZXT H510iを採用しました。シンプルでスタイリッシュなデザインで、拡張性にも優れています。
この構成では、最新のゲームを4K解像度で高画質・高フレームレートでプレイすることができます。また、動画編集や3DCG制作などのクリエイティブ作業にも十分な性能を備えています。
もちろん、予算や用途に合わせてパーツ構成を変更することも可能です。例えば、CPUをAMD Ryzen 7 7800Xに変更すれば、価格を抑えつつも十分な性能を実現できます。また、ビデオカードをNVIDIA GeForce RTX 3070 Tiに変更すれば、4K解像度でのゲームプレイも快適になります。
予算に余裕があれば、追加のアクセサリーやWindows 10のライセンスを考慮してください。
お客様のご希望や予算に合わせて、最適な構成をご提案させていただきますので、お気軽にご相談ください。
最後に、ChatGPTを見ていこう。
●ChatGPT 3.5
お勧めポイント 以下は、30万円以内で組むことができる最新のゲーミングPCの構成例です。価格は変動する可能性があるため、実際に購入する前に最新の価格を確認することをお勧めします。
・CPUとGPUのバランス Ryzen 5 5600XとGeForce RTX 3060は、優れたパフォーマンスを提供し、ゲームやマルチタスクに適しています。
・高速ストレージ 500GBのNVMe SSDは高速で、ゲームやOSの起動時間を短縮します。
・拡張性 ASUS ROG Strix B550-F Gamingは高い拡張性を持ち、将来のアップグレードに備えています。
・冷却 Cooler Master Hyper 212 RGBは効果的な冷却を提供し、CPUを快適に保ちます。
・スタイリッシュなケース NZXT H510iは洗練された外観と効果的なケース内冷却を備えています。
この構成は予算内で高い性能を提供し、将来のアップグレードにも対応しています。実際に購入する前に、各パーツの価格と在庫を確認し、必要に応じて調整してください。
※予算に余裕があれば、追加のアクセサリーやWindows 10のライセンスを考慮してください。
最後に、全体をまとめてみよう。
●生成AIごとにカラーが出て“たたき台”としては十分に使える!
最後に、それぞれの回答で気になったところをまとめよう。
まず全体的に見ると、あえてOSを始めキーボードやマウスなどは指定しなかったが、それらはもちろんのこと、価格や型番まで完璧に回答していたのがCopilot in Windowsだった。同時に情報元のソースもきちんと含まれていた(Perplexityも同様)のは好ましい。
一方のBardは結果をGoogle スプレッドシートで表示できたり、きちんと型番や価格が配慮されていたりするものの、「予算に余裕があれば、追加のアクセサリーやWindows 10のライセンスを考慮してください。」と肝心のOSが省かれているので注意したい。
逆にChatGpt 3.5は、予算を30万としても「合計予算:15万円」とのパーツ選定しかしてくれず、「予算に余裕があれば、追加のアクセサリーやWindows 10のライセンスを考慮してください」を差し引いても20万円にはとどかない状態だった。ちなみに、プロンプトで「予算を25万円以上30万円以下」と細かく指定しても大差はなかった。
それぞれで提案されたパーツ構成はCPUやGPUだけでなく、ケースやCPUクーラーまで異なっており、購入のたたき台としては十分に役立つものと言える。中でも今買うならこれだろうという肌感覚に近い構成は、Core i7-12700KF(8コア16スレッド)とGeForce RTX 4060 Tiを選んだCopilot in Windowsや、Ryzen 9 7900X(12コア12スレッド)とGeForce RTX 3080 Tiと微妙に“攻めた”Google Bardだった。
特に後者は、ストレージが1TB SSD+2TB HDDと“ゲーミングPCを分かっている”と思わせるチョイス(この部分はPerplexityも同様)なのも光る。
生成AIについては、文字通り日進月歩が継続しており、Microsoft Copilotは今後学習データが2023年4月までと新しいGPT-4 Turboや更新されたDALL・E 3を順次採用していくとアナウンスしており、より精度の高い回答/結果を出してくれるようになるだろう。Perplexityも、Chrome ブラウザの拡張機能を追加すれば検索窓から直接検索を行えるので便利に使える。
筆者としては、長年お世話になっているアキバのPCショップ店頭で店員さんとキャッチボールしながらのパーツ選定をお勧めしたいが、なかなか秋葉原まで行くのが時間的/距離的に難しいというケースも多いだろう。
そこで、今Amazonで購入できるという縛りで選んだ筆者なりのオススメパーツを下記にまとめた。あえて4Kでのゲーミングは割り切り、主要パーツはホワイトカラーで、ピラーレスケースで魅せる要素を意識しつつ、ゲーム配信も視野に入れた構成だ。電源ユニットは過剰かもしれないが、将来的なパーツ強化をにらんであえて選んだ。
虎の子のボーナスをぜひ有効活用してほしい。