東京ヴェルディ、劇的同点PK弾で16年ぶりJ1へ「長く待たせてしまった」
熱狂する東京Vサポーター=2日、国立競技場(蔵賢斗撮影)
東京V1-1清水(J1昇格プレーオフ決勝=2日)
2008年以来となる東京VのJ1復帰を告げる笛が鳴り響くと、国立競技場が大歓声に包まれた。長い雌伏の時を過ごした思いがあふれだし、主将の森田は「長く待たせてしまったけど、本当にうれしい」と涙を隠せなかった。
ドラマは0-1で迎えた後半ロスタイムに待っていた。染野がペナルティーエリア内で倒されてPKを獲得し、自らペナルティースポットに向かう。外せばJ2残留が決定的となる局面を「緊張した」と振り返りつつ、きっちりゴール右へたたき込んで「いいところに決められた」と喜んだ。
1969年に読売サッカークラブとして創部。以来日本サッカー界を引っ張り、Jリーグ開幕の93年から2連覇も果たした。ベンチ入りメンバーで歴史的開幕戦が行われた93年5月15日に生まれていたのはわずかに2人。緑の血を受け継ぐ若武者たちが奮起した。
三浦知良(かずよし)(オリベイレンセ)ら日本代表クラスをずらりとそろえた当時と状況はまるで異なる。育成の巧みさは相変わらずながら、城福監督が「毎年のように主力が流出する」と苦笑するように、育て上げたタレントをライバルに引き抜かれ続けた。
それでも下部組織出身の森田らを中心に、国内トップカテゴリーへ返り咲いた。「ヴェルディが日本一を争えるようになったら、こんなにすてきなストーリーはない」と早くも次の目標を掲げたのは城福監督。完全復活を目指す挑戦は続く。(奥山次郎)