旧ジャニタレのネット炎上の“間違った対応”が続く中…専門家が教える「鎮火に必要な3つのセオリー」
’24年5月初旬、Instagramのストーリー機能でファンの「今日で妊娠9ヶ月です 出産こわいよー」というコメントに「旦那様に無痛おねだりするか」と返し、炎上した生田斗真(39)
昨年から旧ジャニーズ事務所のタレントが次々とSNSを開設している。ファンからは喜びの声が上がる一方、それに伴う“炎上トラブル”も相次いでいる。
最近では『WEST.』が『Instagram』に投稿したライブ裏の画像がファンの間で物議をかもした。今までであれば、ファンの間で終わった事案だが、今回は同メンバーの中間淳太(36)が『X』で反応。課金制ではないコンテンツでファンをたしなめる投稿をしたことで、ファン以外も参加する炎上騒ぎとなった。
なぜここまでトラブルが相次いでいるのか。そこにはSNSという場所への理解度の深さが関係している。彼らは昨年まで、会員登録が必要かつ事務所の人間があらかじめ内容を確認する有料ブログでのみ情報を発信してきた。企業向けに炎上対策などを指南するなど、ネット上のリスクヘッジに詳しい国際大学GLOCOM客員研究員・小木曽健氏が解説する。
「会員限定ブログは、言わば友人同士で行くカラオケのようなもの。拍手や声援をもらえ、邪魔する人もいない。一方でオープンなSNSは路上ライブのようなもので、通行人や酔っ払いもいる。当然ヤジを飛ばすような人も現れる。ここが大きな違いです」
一般人の場合、SNS上での振る舞いはトライ&エラーを繰り返し、覚えていく場合が多い。しかし、好感度が仕事に即時反映されてしまう芸能人はそうもいかない。SNSをするにはある程度の覚悟が必要だ。
「投稿場所がどこであっても、大勢に向けて情報発信をすれば、必ず誤解や意図せぬ反響が起きます。伝え上手な人はそのことを知っているので、自分の意見や思いは簡単に伝わらないと覚悟するし、伝え方も工夫し、ちゃんと伝わったか何度も確認する。これらはSNSを活用するタレントに求められるスキルでもあります」(同前)
沈黙は悪手
アイドルだけでなく政治家や俳優、さらにはフォロワーの多い人ならだれでもSNSでの失言によって生活を脅かされる可能性がある。小木曽氏は、まずは初動対応が重要だと分析する。
「ケースバイケースですが、タレントが問題を起こした時に、発言や行動を完全自粛するのはリスクになりやすい。タレントは露出が仕事であり、静かにしていると逆に悪目立ちするので活動再開の見極めも難しくなります。
分かりやすい失敗例が『アンジャッシュ』の渡部建さん(51)。オープンな場で釈明することなく活動休止してしまい、活動再開までに相当な時間を要した。憎まれながらも露出を続けている元『雨上がり決死隊』の宮迫博之さん(54)のほうが、まだ次に動きやすいポジションにいると思います。活動休止する場合は、世間に対する説明、露出をしっかりおこなった上で、あらかじめ期限を決めて休止するのがベターですね」
炎上後、言ってはいけない2大ワード
沈黙せずに発信をするのが炎上対策の要だが、どういった文言を発信するのかも重要だ。炎上が起きた時点で、閲覧者は投稿者の言葉を曲解しがちな心理に陥っている。小木曽氏は企業がSNSの炎上対策をする上で、特に言ってはいけない言葉があると指摘する。
「一つ目は『言葉足らずだった』。これは“伝え方が悪かっただけで、本質的には悪くなかった”という開き直りに曲解されるリスクのあるワードです。’21年に元プロ野球選手の張本勲さん(83)が、東京オリンピック種目の女子ボクシングを蔑視する発言で謝罪に追い込まれた際、このワードを使って再炎上。23年間レギュラー出演をしていた報道番組を降板しました」(同前)
’24年4月に『Sexy Zone』から『timeleszгЂЏгЃёгЃ®ж”№еђЌгЃЁдє‹е‹™ж‰ЂеЏІдёЉе€ќгЃ®ж–°гѓЎгѓігѓђгѓјг‚Єгѓјгѓ‡г‚Јг‚·гѓ§гѓігЃ®й–‹е‚¬г‚’з™єиЎЁгЂ‚гѓ•г‚ЎгѓігЃ®й–“гЃ§е¤§з‚ЋдёЉгЃ—гЃџгЃЊгЂЃиЏЉж± йўЁзЈЁпј€29пј‰гЃЊSNSдёЉгЃ§гѓ•г‚ЎгѓігЃ®иіЄе•ЏгЃ«з”え続け、事態が収束。ネット炎上鎮火の好例гЃ
「二つ目は『傷つけたとしたら申し訳ない』。これは『誰も傷つけていなければ謝罪は不要』、『誰か傷ついた人いたの?』という逆ギレに解釈されかねない危険なワードなんです。’24年に前静岡県知事の川勝平太氏(75)は、職業差別ととれる発言をしてしまった時にこの謝罪ワードで批判を浴び、最終的に知事を辞任しました」(同前)
炎上を好感に変える
失言の謝罪でさらに失言を重ねてしまう者もいれば、一方でピンチを華麗に切り抜け、好感度を上げた事例がある。
「’18年のインタビューの際、元サッカー選手の本田圭佑氏(38)が、『清々しい(すがすがしい)』を『きよきよしい』と誤読。クールなイメージとのギャップで話題となったのですが、翌日SNSに 『お恥ずかしい。漢字が苦手で。でも、もうしっかり覚えました』という、言い訳なし、シンプルかつ前向きな説明をおこなったことで“本田氏を揶揄する人間がカッコ悪いのだ”という構図を一瞬で作ってしまったのです」(同前)
小木曽氏はネット炎上の対応は、“謝罪”、“何に対して謝っているかの説明”、“指摘への感謝”という3要素を踏まえるのがセオリーだというが、本田氏のシンプルな対処はこれに近かった。
本当に謝罪が必要か見極める
ネットの騒動は、安易に「ネット炎上」と報じられがちだが、本来炎上とは「謝罪が必要なもの」だけを指す。小木曽氏は、法を犯したことが火種である場合は謝罪が必要な「炎上」、それ以外は謝罪の必要性がない単なる「反響」や「議論」であることが多いと指摘する。
「何でも炎上扱いすると世の中が委縮するので良くないのですが、一方でタレントの場合『これ炎上じゃないから』と放置すると、イメージ低下といったビジネスリスクを招くことも。ネットは“沈黙=認めた”ことになる世界です。
法を犯していない単なる反響や議論というケースなら、その事実をしっかりと説明・解説し、『自分も勉強になった』等、謝罪ではない投稿を行うことが必要。その情報発信で好感度も維持できると思います」(同前)
芸能人の素を見れるのがSNSの醍醐味というだけあって、普段の印象が良くてもひとたびSNSでの発言が炎上すると、それこそがその人の本性だと思われてしまう。感情や本人のカリスマ性ではなく、理論でSNSを活用していく時代に突入している。