ジムニー愛 ずらり500台 鳥取でフェスタ
海岸を埋めるように集まったジムニー=2024年6月9日午前10時52分、鳥取県岩美町、清野貴幸撮影
海沿いの駐車場を埋めたのは、どれもこれもスズキの四輪駆動車「ジムニー」。休日の6月9日、鳥取県岩美町の大谷海岸で愛好家が集まるイベントがあり、会場はジムニー愛で満ちあふれていた。
参加した山下洋人さんのジムニー。多くの人が見学していた=2024年6月9日午前10時25分、鳥取県岩美町、清野貴幸撮影
神戸、なにわ、滋賀、熊本。関東の湘南や春日部のナンバーもある。集まったジムニーには、山陰両県や岡山はもとより、さまざまな地域のナンバーが付いていた。黄色の軽自動車が多く、並んだ総数は主催者発表で500台以上。岩美町の自動車販売会社「オートルビーズ」と町立渚(なぎさ)交流館が2年前に始めた「ジムニーフェスタ」だ。
ジムニーは専門誌もあるほどカスタムが人気。オートルビーズは新車での販売に加えカスタム用部品も製造、販売。顧客の多くを県外在住者が占めることから、鳥取の魅力を知ってもらって観光需要につなげようとイベントを企画したという。
「どこでも走れる。普通の車じゃ行けん道を入って、森でコーヒー飲んだりとか」。昨年からオーナーになったというジムニーの魅力を、広島県東広島市から参加した木村大輔さん(38)は語る。仲間と一緒に自宅を前夜出て、会場近くで車中泊をしたという。
愛車は、車検に通る範囲で内外装やタイヤなどを自分好みに変えている。既に数十万円を投じたという木村さんは、他のオーナーのカスタムを参考にするのも参加の狙いという。
「自分の車を見せ、他人の車を見て参考にする。(SNSで知り合った人同士が実際に会う)オフ会として楽しんでいる人もいる」と、オートルビーズ社長の野沢慎吾さん(39)は説明する。愛車の横にキャンプ用のいすを持ち出して談笑するオーナー同士や、ずらり並んだジムニーを熱心に見て回る人の姿もあった。
第1回から欠かさず参加している徳島県阿南市の山下洋人さん(55)の愛車は注目を浴びていた。頑丈そうなフロントバンパー、屋根上のキャリア、予備のタンクなど、自作も含めた多くの部品や装備品で彩られ、すぐにでもサバイバルキャンプに行けそうだ。ジムニー歴は30年ほどと筋金入りで現在は2台所有する。「車を見て、子どもが喜んでくれる。大人のおもちゃです」
山下さんに「かっこいい。武骨感がすごいですね」と話しかけていた松江市の新庄順さん(50)はコロナ禍でキャンプをするようになり、昨年からオーナーに。カスタムの参考にしようと参加したという。愛車の魅力は「軽のマニュアル車でターボが付いて。『本格的な車』を運転している感じ」だという。
会場ではカスタムの専門店が手掛けたジムニーやグッズが展示され、コンサートや食べ物の屋台を楽しむ家族連れの姿も。目の前の海でカヤックやサップを楽しむ人たちもいて、普段は静かな海辺が華やいでいた。(清野貴幸)
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〈ジムニー〉 1970年、本格的な量産型の軽四輪駆動車として発売。高い悪路走破性とコンパクトな車体で国内外で人気を集める。スズキによると、世界の累計販売台数は約342万3千台(2023年度)。初代が20年、日本自動車殿堂の「歴史遺産車」に選ばれた。現行車は4代目。