7月4日英総選挙、スナク首相が表明…与党・保守党の支持低迷で労働党に14年ぶりの政権奪還の可能性
22日、激しい雨が降る中、ロンドンの首相官邸前で総選挙の実施を表明するスナク首相=AP
【ロンドン=尾関航也】英国のリシ・スナク首相(44)は22日、議会下院を解散して7月4日に総選挙を行う意向を表明した。与党・保守党の支持率は20%を下回る水準に低迷しており、不利な状況で総選挙に臨むことになる。最大野党・労働党による14年ぶりの政権奪還につながる可能性がある。
スナク氏はロンドンの首相官邸前で声明を読み上げ、解散理由として、混乱状態にあった英国経済が正常化しつつあるとの認識を示した。「我々の前進をさらに進めるか、振り出しに戻るリスクを取るか」を問う選挙になるとも訴えた。
総選挙は2019年12月以来4年半ぶりで、20年1月の欧州連合(EU)離脱後は初めてとなる。下院の任期切れが12月に迫っていた。英メディアによると、下院は今月30日に解散する。
英調査会社ユーガブの5月上旬の調査によると、保守党の政党支持率は18%で、労働党の48%を大きく下回る。投票日までの1か月余りで情勢が変わらなければ、保守党は大幅に議席を減らす公算が大きい。
英国では、コロナ禍やロシアのウクライナ侵略の影響で、急激なインフレ(物価高)が国民生活を直撃している。
22日に発表された経済指標では物価上昇率が低下しており、スナク氏の決断を後押しした模様だ。待てばさらに状況が悪化するとの判断も働いたとみられる。これまで解散時期は10~11月が有力視されていた。スナク氏は22年10月の首相就任以来、国内経済の混乱収束に重点を置く考えを明確にしていた。