尖閣上陸の12年前と一変…維新・和田有一朗衆院議員「目の前に海警の船」 尖閣視察を語る
尖閣諸島の魚釣島を船上から視察する和田有一朗衆院議員。手前2隻は海上保安庁の巡視船で、奥は中国海警局の船(和田氏提供)
沖縄県石垣市が4月に実施した尖閣諸島(同市)の海洋調査には、与野党の国会議員5人が同行した。そのうちの一人で、平成24年8月には魚釣島に上陸した日本維新の会の和田有一朗衆院議員に話を聞いた。
--尖閣諸島周辺の様子は
「調査船は4月26日の夜に石垣島を出発し、27日の早朝にはすでに魚釣島から2~3キロの辺りを航行していた。日の出の光で目を覚まし、デッキに出ると海上保安庁の巡視船と中国海警局(海警)の船が何隻も入り乱れて航行している姿が目に飛び込んできた。大げさかもしれないが、船の煙突から立ち上る煙を見て、日露戦争で連合艦隊とバルチック艦隊が激突した日本海海戦を扱った映画のワンシーンのように思え、『こんな状況になっているのか』と驚いた」
--旧民主党政権が尖閣諸島を「国有化」する直前の24年8月、魚釣島に上陸した
「当時兵庫県議だった私を含む地方議員有志の数人で上陸したが、そのときは非常に牧歌的な雰囲気だった。1時間余り上陸し、日章旗を立ててきたが、あたりはヤギのフンだらけで、臭かったのを覚えている。海警の船は当然いなかったし、海保の巡視船は遠くの方で、われわれの安全を確保するために見守ってくれていたように見えた」
--状況は一変した
「12年前はこんなことになるとは想像もしなかった。海警の船が連日のように領海侵入していることは知ってはいたが、日本の領海の、日本の島のすぐ横、目の前に海警の船がある。これはちょっと異常じゃないかと思った。日本の領海であるのに、そうでないと錯覚しかねない状況があった」
--政府は尖閣諸島を「有効に支配」していて、現場海域で海保などが「冷静かつ毅然(きぜん)とした対応」を行っているとしている
「海保の巡視船は数隻で海警の船を取り囲んで、進路を阻んでいた。操船技術の高さを含め、海保の日夜の対応には敬意を表したい。だが、それらも対症療法だ。抗議をし続けても、どんどん海警の船が領海に入ってきている現実がある。操船技術が海保に劣るという海警の船が海保に誤ってぶつかってきたらどうするのか。あるいは発砲してきたらどうするのか。現実問題として真剣に考えなければいけない」
--抗議以外に何が必要か
「政府は、原則として政府関係者以外の尖閣諸島への上陸を認めない方針をとっているが、それならば、政府職員を上陸させ、常駐させるべきだ。携帯電話の基地局を設置することも考えられる。実効支配を強化するためだ。今回、機会あって調査に同行できたが、上川陽子外相をはじめ、すべての国会議員が尖閣諸島を視察すべきだと思う」(原川貴郎)
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わだ・ゆういちろう 昭和39年、神戸市生まれ。早稲田大卒、神戸市外大大学院修士課程修了。衆院議員秘書、神戸市議、兵庫県議を経て令和3年10月の衆院選で初当選。59歳。