筋肉をほぐすのに最も効果的な方法…椅子に座ったまま10秒で股関節や太ももの張りを簡単に落とす!
体によかれと思ってやっているストレッチやマッサージ。かえって逆効果になって疲労の原因になることがあります。どうすれば疲労が取れるのでしょうか?
業界の超一流から、一般人にいたるまであらゆる世代のコンディショニングを支えてきたトレーナーによるストレッチよりも気持ちいいセルフケアメソッドを解説した『朝起きてすぐに動きたくなる体』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成。
前編『「筋肉の向き」を考えずにストレッチしてはいけない…間違った知識では体が硬くなる』に続く後編をお届けします。
「錆びついたネジをコツコツと回すように」
ストレッチで筋肉を「伸ばして」もうまくほぐれないとしたら、どうすればいいのでしょうか。正解は「小刻みにヨコに振る」ことです。
「振る」といっても大きなスイングや無駄な動きはいりません。小刻みに筋肉を揺するだけでいいのです。それだけでストレッチや運動並みの効果が得られるし、やればやっただけ次に行うストレッチや運動の効果も劇的にアップします。
それはまるで錆びついたネジを回すときの要領に似ています。
最初は小さな力をコンコンと入れ、ネジを動かしやすくするのに似ています。
筋肉についた錆や張りも、少しずつコンコンと落としていくのです。
論より証拠。今すぐこのボディシェイク、通称「ふるふる」を試していただければと思います。
結果を測定したいので、まず立ったまま前屈してみましょう。床に手を伸ばしてみてください。
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「床に手が付かない」という人は何センチくらいか覚えておいてください。
「床に手が付く」という人も何センチくらい付いているか確認を。
いずれの場合も体がカチカチの人は、前屈しているときに太ももやふくらはぎがピリピリと痛むはず。その痛みの感覚がどの程度軽減するかも知りたいので、覚えておいてください。
・足を並行にそろえて「ふるふる」
では「ヒザふるふる」にチャレンジです。イラストも参考にしながら、行ってみてください。
まず、椅子に浅く腰かけてください。
自宅にいる人は、床に座る姿勢でも大丈夫。靴下などをはいている人は床がすべりやすいので、靴下を脱ぐか、足先を壁に付けて体がずるずる動かないように固定してください。
そしてヒザを左右に2〜3センチ小刻みにぶるぶると震わせます。
このとき、両ヒザをそろえて同じ方向にバッタンバッタンと倒してはいけません。
左右を逆側に動かして、両ヒザの間の空間が開いたり閉じたりするように行います。
「貧乏ゆすり」とは似て非なる
ヒザを揺らすことで、太ももとふくらはぎの筋肉をぶるぶる「ヨコ」に揺らしてみましょう。
この動きの最大のポイントは、変な力がギュッと入らないよう、ふくらはぎやお尻、太ももがなるべく力まないように気をつけること。そうでないと、気持ちよくぶるぶると揺れてくれません。できるだけ力まない体勢を見つけてください。
これは「貧乏ゆすり」と似てはいますが、別物です。貧乏ゆすりは筋線維に対して「タテ」のポンピング運動なので、筋肉は収縮しています。脱力してリラックスさせて「ヨコ」に振る行為とは真逆の動きなのです。
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10〜20秒やったら終わり。最初はうまくできないかもしれませんが、何度か繰り返すうちに、上手にぶるぶる揺らせるようになります。慣れてくると、10秒間で30〜40往復くらいはぶるぶるできます。
・足をハの字にズラして「ふるふる」
さきほどはまっすぐで「ふるふる」してもらいましたが、次は足を「ハ」の字にして、内股っぽい感じで「ヒザふるふる」をしてみましょう。
今度も10〜20秒ほど。
揺れる場所が変わり、新たな効果が生まれます。太ももの裏側にあるハムストリング(大腿二頭筋)が揺れやすくなったのではないでしょうか?
それでは、立ち上がってもう一度前屈してみてください。驚きの結果が出るはずです。個人差はあると思いますが、さきほどよりも床に手が近づいている方が多いのではないでしょうか。
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日常的にストレッチや運動をする人は、このように筋肉の錆が取れた状態で、運動を始めてみてください。筋肉がリラックスしているから、体の感覚が明らかに変わるはずです。
動的ストレッチでいえば連動性の可動域も非常に生まれやすいし、静的ストレッチでいえば痛みが少なくなるでしょう。
この「10秒シェイク」、手軽にできることから生徒さんたちに大好評でどんどん愛好家の輪が広まっていき、いつしか「ふるふる」の愛称で呼ばれるようになりました。
「股関節こそ、小刻みに揺らしてあげたい」
「ふるふる」をしているとき。体の中でなにが起こっているのでしょうか。
筋肉が揺れることで、股関節ではねじり運動が起こっています。前屈がうまくできない人は股関節や太ももの筋肉がこわばっているので、そこにアプローチしていたわけです。
股関節は加齢とともに硬くなりやすいもの。それを一気に静的ストレッチで広げようとすると、故障の原因になってしまいます。
「錆びたネジを取ろうとして一気にグッと回そうとすると、ネジ山が壊れてしまう」、そんなイメージです。
だからちょっとずつ小刻みに動かして、ちょこちょことゆるめていく感じがいいんです。ですから筋肉はタテに伸ばすのでもヨコにぶった切るのでもなく、ヨコに揺らしてください。
筋肉をほぐすには、ヨコに振るの一択。つまり体をほぐしたければボディシェイク(=ふるふる)が最適です。