ホン・サンス監督作品 映画「WALK UP」 主演 クォン・ヘヒョ「心の中見せてくれる」
ホン・サンス監督作品 映画「WALK UP」 主演 クォン・ヘヒョ「心の中見せてくれる」
韓国ドラマ「冬のソナタ」のキム次長で知られるクォン・ヘヒョ(58)が、ホン・サンス監督「WALK UP」(28日公開)で映画監督役で主演する。ホン監督の現場は、撮影当日の朝に台本を渡される。ホン作品常連のクォンは、「全く知らない場所に遠足に行く子どもの気持ち」と、ワクワクした思いで撮影に臨んだ。 (石原真樹)
「ホン監督にとってまず大事なのは場所で、次にどの俳優をそこに立たせるか。出演オファーは『何日から何日まで時間つくれる?』だけ。今日撮る分は分かるけれど、明日何を撮るか全く分からない」。そんな映画作りが、クォンは好きだという。
今作の舞台は小さなアパート。地下1階はオーナーであるインテリアデザイナーの作業場で、1階がレストラン、2階が料理教室、3階が賃貸住宅、4階は芸術家向けアトリエ。オーナーに娘を引き合わせようと訪れた映画監督ビョンス(クォン)は、そこで暮らすようになり、シェフや不動産業者ら、さまざまな女性と関係を結んでゆく。
時間の流れはあやふやで、大事件は起きず、会話劇で物語が進む。それゆえディテールが重要で、ホン監督は現場で細かく指示するという。さりげなくワインのラベルを見るビョンスのしぐさに「どれくらい高価な酒なのか確認する俗物さ」がにじみ、テーブルを囲んで何度も乾杯する行動から「その場の雰囲気を良くしたい」心理がのぞく。「監督が大事にするリズム感や、言葉の細かなニュアンスの違いが緊張感を生んでいると思う」
◆ワンカット まさかの17分
一つのシーンをワンカットで撮り、ビョンスとオーナー、シェフがワインを飲みながら語る場面はまさかの17分間。「テイクを重ね、モニターを見ては話し合い、完璧なリズムを作り上げていった」。ラストシーンも40回ほど撮ったといい「形式や構成、リズムを引き出すのは、非常に難しい作業」と明かす。
「WALK UP」から ©2022 JEONWONSA FILM CO. ALL RIGHTS RESERVED.
大胆な脚本と緻密な演出が生み出すホン作品の魅力を「監督の飾らない姿、偽りのなさ」と語り、「自分の心の中をのぞき込んで、それを見せてくれる。だから観客は楽しめるのではないか」。
東京都墨田区のミニシアター「Stranger(ストレンジャー)」では、28日~7月18日、ホン監督作品を特集上映する。
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