奈良・生駒の土砂崩れ 近鉄所有の山林50メートル四方の表層滑落か
資料を手に状況を説明する近畿日本鉄道の大野隆・大阪統括部施設部長=奈良県生駒市役所
奈良県生駒市辻町の山林で発生した土砂崩れは、約50メートル四方の範囲で斜面の表層部分が数メートル滑り落ちた可能性があることがわかった。山林を所有する近畿日本鉄道が、市が1日に開いた記者会見で明らかにした。
近鉄けいはんな線は、線路わきに土砂が流れ込み、6月28日夜から全線で運転を見合わせた。29日に長田―新石切間は運転を再開したが、新石切―学研奈良登美ケ丘間は1日始発に再開するまで運転を見合わせた。近鉄の大野隆・大阪統括部施設部長らは会見の冒頭、被災した住民や鉄道利用者に謝罪。航空写真から崩れた範囲を推定し、場所によって1~4メートルほどずれたとみられるという。大野部長は「地滑りとはまだ考えていないが、地質調査などを進めて恒久的な対策を講じたい」と述べた。
市は現場周辺の12世帯41人に避難指示を出した。敷地や家屋に土砂が流入した住宅5軒は応急危険度判定で「危険」とし、それ以外の住宅は安全を確認出来次第、避難指示を解除する方針という。
小紫雅史市長は、被災者に寝具や日用品、防水シートの提供などをしているとした上で、「一日も早く元の日常に戻れるようきめこまかな支援をしたい」と話した。近鉄は被災した住民に24時間対応の相談窓口を設け、仮住まいの確保などをしているという。
けいはんな線はトンネル前では一時停止して安全を確認して運行しているという。(神田剛)