トランプ氏に530億円支払い命令 NY州裁、会社役員も3年禁止
1月11日、米ニューヨーク州の裁判所で開かれた弁論に出廷したトランプ前大統領=AP
トランプ前大統領やその関連企業が長年にわたり、所有する不動産の価値を不当に高く評価していたとされることをめぐる民事訴訟で、米ニューヨーク(NY)州の裁判所は16日、トランプ氏に3億5500万ドル(約533億円)の支払いを命じる判決を言い渡した。米紙ニューヨーク・タイムズによると、金利を含めると支払額は4億5千万ドルになるという。
1月15日、米アイオワ州でイベントに参加した(右から)トランプ前大統領と、次男のエリック氏、長男のドナルド・ジュニア氏=AP
判決はまた、トランプ氏が3年間にわたって、NY州を本拠とする会社の役員などに就くことを禁じた。トランプ氏の成人した2人の息子についても、400万ドル超の支払いを命じ、2年間はNY州の企業の役員に就くことを禁じた。トランプ氏は上訴する方針だが、会社経営にとって大きな打撃となる。
判決などによると、トランプ氏らは2014年から21年にかけて、金融機関に対して提出する資産報告書で、NYにあるトランプ・タワーの居宅やフロリダ州の邸宅「マール・ア・ラーゴ」などの資産価値を不当に高く評価した。
この訴訟は、NY州の司法長官が、トランプ氏が不動産の価値を高く評価することで、金融機関から有利な条件で融資を受けたとして起こし、そのことによって得た利益を賠償するよう求めていた。裁判所は既に、司法長官側の主張を大筋で認めており、賠償額などについてどのように判断するかが焦点だった。
アーサー・エンゴロン判事は判決で、賠償を命じなければトランプ氏らが「詐欺的行為を続ける可能性が高い」と指摘。トランプ氏が過ちを全く認めないのも「病的に近い」と非難した。
トランプ氏は判決を受けた声明で「被害者はおらず、詐欺があったと証言した人もいなかった」と反発。訴訟も判決も選挙妨害であると主張し、上訴する方針を明らかにした。(中井大助)