ガザでの戦闘休止や人質解放巡る詰めの協議、隔たり埋まらず…イスラエル各地で合意求めるデモ
4日夜、エルサレムの首相公邸近くで、人質交渉の合意を求めて行進するデモ参加者たち=福島利之撮影
【エルサレム=安田信介、福島利之】パレスチナ自治区ガザでの戦闘休止や人質解放を巡る交渉は、仲介役エジプトの首都カイロで詰めの協議が続いている。イスラム主義組織ハマスが求める恒久的な停戦とイスラエル軍のガザ撤退について折り合わず、妥協点を探る駆け引きが行われている。
中東の衛星テレビ局アル・ジャジーラは、4日の交渉でいくつかの進展があったと報じた。ただ、ハマス報道官は「恒久停戦とガザ撤退については協議中だ」と説明している。
イスラエルは合意の有無にかかわらずガザ最南部ラファに侵攻する構えを見せており、両者の隔たりが埋まっていない模様だ。イスラエル政府関係者は4日、地元メディアに「人質解放との取引で恒久停戦に合意することはない。ラファに侵攻し、残存するハマスの部隊を壊滅させる」と強調した。
AFP通信によると、米国のブリンケン国務長官は3日、「もしハマスが彼らの主張通り『パレスチナ人の代表』なら、戦闘休止を(含む提案を)受け入れるのは簡単なはずだ」と述べ、速やかに提案に合意するよう改めて求めた。米紙ワシントン・ポストによると、ブリンケン氏は4月、ハマスが合意を受け入れない場合、カタールに拠点を置くハマス幹部を追放するようムハンマド・サーニ首相に要請していた。
イスラエル各地では4日夜、人質解放交渉の合意を求める反政府デモが行われた。エルサレム中心部の首相公邸付近では数千人が太鼓を打ち鳴らしながら「人質を今、連れ戻せ」と叫んだ。「ネタニヤフ首相には全ての責任がある」と書かれた手作りの看板を持って参加した元大学教授のツビ・シロンさん(75)は「ラファ侵攻より先に人質の解放を優先するよう決断してほしい」と訴えた。