「原発新増設、次期エネ基に」 林欣吾・電事連会長 再エネ、負担のあり方議論
原発の必要性を強調する、電気事業連合会の林欣吾会長=2日、東京都千代田区
大手電力でつくる電気事業連合会の会長に4月1日付で就任した林欣吾氏(中部電力社長)が2日、産経新聞のインタビューに応じた。今年度は政府が、国のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」を見直す重要な年で、林氏は「長期的に原発の役割は増していく」との認識を示した上で、原発の建て替えや新増設が計画に盛り込まれるよう、働きかける意向を示した。
国内では人口減少が進む一方で、生成AI(人工知能)の普及に伴い電力消費の多いデータセンターの増設が見込まれることから、林氏は「電力需要のボリュームは増えていく」と指摘。その上で脱炭素化を進める観点でも「原発は最も現実的でコストの良い電源だ」と述べた。
東京電力福島第1原発事故後、廃炉を決めた24基を除くと、原発36基のうち再稼働できたのは12基にとどまる。林氏は「遅れている再稼働を進めるだけでなく、新増設、リプレース(建て替え)、新型炉を含めた開発を総動員しないと、日本を支えるエネルギーをまかなうボリュームを、達成できない」と強調した。今後エネルギー基本計画の策定をめぐり、電事連として国への働きかけを行う。
また再生可能エネルギーについても「最大限の開発をしていかなくてはいけない」とした。ただ再エネは選択肢が増える一方で発電コストが高く、普及に向けて電気料金に上乗せされる賦課金などが家計を圧迫するとの不満は根強い。
林氏は「公平に、国民の負担で(再エネを)増やしていくことが必要」と話し、東日本大震災後に国が電力自由化などを決めた「電力システム改革」の検証作業の中で、発電コストの負担のあり方について議論を進めたい考えを示した。