肥後銀行アンカー、期待通りの快走で逆転V 選抜女子駅伝北九州
立命館宇治のアンカー・大西桃花(右)を猛追する肥後銀行のアンカー・酒井美玖=北九州市で2024年1月21日、平川義之撮影
選抜女子駅伝北九州大会(21日、福岡)
5区間27・2キロ
一般の部優勝=肥後銀行(熊本)1時間28分15秒
肥後銀行のアンカーを任されたエース・酒井美玖がたすきを受けた時点で、先行する京セラとの差は42秒。逆転できるか微妙な差だったが「酒井は時々想像の上を行ってくれる」と渡辺重治監督が期待した通りの走りを見せた。
北九州市立高時代に全国高校駅伝1区で区間賞に輝いた実力者は、前半は抑えて自分のペースを作ると、後半に仕掛けた。8キロ付近で京セラをかわして一般の部のトップに立ち、フィニッシュまで駆け抜けた。高校時代に練習で知り尽くしたコースを快走し、「すごく楽しかった」と笑顔を見せた。
チームは2023年10月にあった全日本実業団対抗女子駅伝「クイーンズ駅伝」の予選会「プリンセス駅伝」で1区の選手が故障で途中棄権し、全日本の出場を逃した。だが「次の予選会に向けて頑張ろうという気持ちのほうが強かった」(酒井)。切り替えて練習を重ねる中、優勝を目指して臨んだ選抜女子駅伝で着実に力を伸ばしていることを証明した。
創部13年目のチームにとって、悲願だった駅伝での初タイトルでもある。21歳の酒井はケニアで現地選手と共に合宿するなど経験を積んでいる。結婚、出産を経て昨夏加入した南雲栞理は1区で2位と流れを作り、頼もしい存在だ。渡辺監督は「酒井頼みになっているという課題はあるが、駅伝で勝つということがチームにとって初めての経験。クイーンズ駅伝の8位以内を目指していきたい」。これを弾みに、全国の上位で戦えるチームへと成長していく決意だ。【黒澤敬太郎】