7年間に給料のほとんどを投資して、29歳でFIREするために実践した5つのこと
アイスランドを旅行中のダニエル・ジョージ氏。
- ダニエル・ジョージ氏は2018年に博士号を取得した後、エックス(旧:グーグルX)で働き、その後JPモルガンにVPとして勤務した。
- 博士課程の間に、収入の大半を投資に回し始めた。2023年には投資額の2%で暮らせるようになった。
- 29歳で経済的自立を達成し、仕事を辞める後押しとなった5つのヒントを紹介する。
これは、サードイヤーAI(ThirdEar AI)の共同創業者、ダニエル・ジョージ氏との書き起こし対談に基づくエッセイである。ダニエルは、自分の資産状況を証明する書類を見せながら、どのようにして経済的自立を達成したのか説明してくれた。以下は、その対談を編集したものである。
29歳のとき、私は経済的自立を達成し、早期退職した。
2018年に24歳で博士号を取得したあと、秘密裏に次世代技術の開発を担う大手AI企業、グーグルXに勤務した。2020年にJPモルガンにVPとして転職し、2023年まで務めた。
2017年にわずか1000ドル(約15万円)から投資を始め、給与を株式に積極的につぎ込み、20代後半に初めて100万ドル(約1億5000万円)を超えた。2023年には、投資額の2%未満で米国での年間生活費を賄えるようになった。だから、私は仕事を辞めた。
お金を稼がなければと心配する必要が二度となくなったので、最も情熱を持っていることに取り組める。だから、私が今時間を使っているのは、プロンプトがなくてもリアルタイムでサポートや提案を提供してくれるAI開発を行うスタートアップ企業、サードイヤーAI(ThirdEar AI)の経営だ。
以下に、私が経済的自立を達成した5つの方法を紹介しよう。
1. 学生ローンを回避する
私はインドのケララ州で育った。両親の年間所得が2万ドル(約300万円)以下の地域だ。借金しなければ、米国の大学に行くことも、インドの私立大学に通うことさえできなかっただろう。だから、私はもっと学費の安いインドの国立大学で勉強することにした。
インドの学生が毎年大学に入るために受けるテストに向けて、私は一心不乱に勉強した。その結果、成績優秀者の上位0.1%に入り、ボンベイにあるインド有数の公立大学、インド工科大学に入学して工学および物理学を専攻することができた。学費、住居費、食費などすべて合わせたコストは、年間わずか1200ドル(約18万円)だった。
修士号を取るために借金する代わりに、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校に博士課程の入学を直接申請した。
米国では、修士号を先に取らなくても、博士課程に直接入学申請できる。米国の大学では博士課程の学費はしばしば免除され、ふつうは初日から毎月2000ドル~3000ドル(約30万円〜約45万円)の俸給が支給される。2年間タダで修士号を取得し、それから博士課程に行けるので、時間とお金を節約できるのだ。
私は2015年にイリノイ州に移住した。2年間、無償で修士号を取得し、ちょうど1年後の24歳のときに博士課程を早期修了した。
教育にかかったお金はゼロだ。というのも、もらった俸給の半分を生活費に回せばよかったし、残りの金額は、学士号の取得にかかった費用を大きく上回っていたからだ。
2. 若い時から株式に積極的に投資をした
また、博士課程の間にテクノロジー企業でアルバイトをしたり、テクノロジー企業でサマーインターンをしたりして副収入を得た。最初は稼いだお金を銀行口座に預けて、微々たる利息を得ていたが、博士課程の最終年に徐々に株式を購入し始めた。
投資についてさらに勉強した。グーグルXで正社員として働き始めたとき、貯金すべてを投資に回し始めた。支出はグーグルXでもらう給料の10%以下に抑え、税金を払った後に残った金額をすべて株式市場、大半はテクノロジー株に投資した。株式以外には投資をせず、預金も持たなかった。
投資は早く始めるほど良い。複利の効果で指数関数的に増加するからだ。
だが、こうした投資には多くのリスクとボラティリティ(変動率)を伴う。とはいえ、長期投資に徹すれば、市場でタイミングを計るよりも効果的だ。株式市場が下落したとしても、売却せずにじっくりと回復を待つ余裕があるならば、たいてい市場は回復する。
年齢が若く仕事をしているならば、働いて稼げるし、生活費も安いので、リスクと市場の変動に耐えられる。
だが年を取ってリタイアした後は、社債や米国債、定期的な収入が得られる預貯金など、より安全で変動の小さい資産に分散投資をした方が良いだろう。
3. 初めは高給都市で働こう。だが、そこに定住はしない
サンフランシスコ、ニューヨーク、シアトルでは、多くの仕事の給与が他の地域をはるかに上回る可能性がある。だが、生活費もまた高いので、必ずしも貯蓄が増えるわけではない。
さほどお金がかからないキャリアの初期にこうした高級都市で働けば、高い給与をおおいに生かして貯蓄を一気に増やせる。
カリフォルニア州マウンテンビューにあるグーグルXで働き始めたとき、私は1年間で27万ドル(約4000万円)稼いだ。小ぎれいなアパートを友達とシェアし、食事はほとんど会社の食堂で済ませ、他に大きな支出をしなかった。すると、支出を所得の10%以下に抑えることができたのだ。
最終的に定住したいと思ったら、生活費が非常に安い場所に移り、貯蓄の価値を増やすことができる。
4. 給与交渉を学ぶ
最初に就職したグーグルXについては、大学院を卒業直後に内定をもらい、すぐに入社を決めた。
ところが、博士号を持っていない私よりも肩書が低い友達は、他社のオファーレターをグーグルXに見せて給与を交渉し、当初提示された金額の3倍の給与を獲得した。
数年後にJPモルガンから転職の誘いがあったとき、複数のテクノロジー会社とヘッジファンドからオファーが出ることは確実だったので、それをフルに活用した。またそれまでに交渉戦略も学んでおいた。
つまり、JPモルガンからインタビューで「(給与は)いくらぐらい欲しいか」と聞かれた際、別の会社からのオファーをちらつかせながら具体的な数字に明言せずに、給与のあらゆる面を交渉した。この条件交渉により、最初に提示されたほぼ2倍の金額を獲得した。
5. 同じ目的を持つパートナーを見つける
妻とはグーグルXで出会った。年頃は同じで、2人ともAIの博士号を持っていた。収入も似たような金額で、それぞれ別々の株式口座にほぼ同額貯蓄していた。
私たちは支出と投資について同じような考え方をしており、支出を折半している。2人とも物をほとんど持たないミニマリストで、デジタルノマドのライフスタイルを謳歌しており、高級品を所有するよりも旅行や経験に重きを置いている。だからこそ、私は早期退職できたのだ。
早期退職したいなら、最適なパートナーを見つけることが長期的な幸せと成功にとって最も大事だろう。
※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。