イラン大統領、「イスラエル空爆」に報復宣言 精鋭部隊5人死亡
パレスチナ情勢に関する国際会議に出席するイランのライシ大統領=テヘランで2023年12月23日、西アジアニュースエージェンシー・ロイター
シリアの首都ダマスカス郊外で20日にイラン革命防衛隊幹部らがイスラエルによるとみられる空爆で死亡したことに対し、イランのライシ大統領は同日、イスラエルによる「卑劣なテロ行為」に報復するとの声明を発表した。イランメディアが伝えた。報復の態様によっては、中東でさらに緊張が高まる恐れがある。
イスラエルは空爆への関与を公式には認めていないが、イランはイスラエルによるものだったと断定している。革命防衛隊は20日、この空爆によって、負傷した隊員1人もその後死亡し、死者は革命防衛隊の5人とシリア軍の関係者数人に上ったと明らかにした。
報道によると、ライシ師は声明で「(イスラエルは)シリアの主権を侵害した」と批判し、「こうした犯罪は米国などの支援で可能になった」と主張した。また、イラン外務省のカナニ報道官は20日、死亡した革命防衛隊の幹部らについて「シリア政府の招請により現地の対テロ戦を支援する重要な役割を担っていた」と説明。イランはイスラエルに対し「適切な時間と場所」を選び、報復する権利があると語った。
シリアでは昨年12月にも革命防衛隊の上級軍事顧問がイスラエルによるとされる空爆で死亡している。イランは「報復」として今月中旬、イラク北部のクルド人自治区をミサイル攻撃し、「イスラエル諜報(ちょうほう)機関の拠点を破壊した」と主張した。【カイロ金子淳】